前回に引き続き、LINの基礎知識を解説。今回は「LINフレームの構造」「ネットワークマネジメント」「LIN記述ファイル」について詳しく見ていこう
連載第1回「知っておきたいLINの基礎知識 その1」では、LINの基礎知識としてLINプロトコルの特徴やハードウェア、通信方式について解説しました。
今回は、「LINフレームの構造」「ネットワークマネジメント」「LIN記述ファイル(LDF:LIN Description File)」について説明します。
前回説明したとおり、LINは「マスター・スレーブ方式」で通信を行います。1つのLINフレームは「ヘッダー」と「レスポンス」で構成されており、ヘッダーは「マスタータスク(マスターノード)」から送信され、レスポンスは「スレーブタスク(マスターノードまたはスレーブノード)」から送信されます。
ここでは、ヘッダーとレスポンスのフレーム構成を説明します。
ヘッダーは「Break」「Synch」「Protected ID(PID)」の3つのフィールドで構成されています(図1)。
LIN1.xでは、PIDフィールドを「Identifier(ID)」フィールドと呼び、5、6ビット目(図3のID4、ID5)にレスポンスのデータ長(DLC:Data Length Code)の情報を格納する場合があります。
レスポンスは「データ」「チェックサム」の2つのフィールドで構成されています。データ、チェックサムともに、UARTフレーム(スタートビット/ストップビットあり)で送信します(図4)。
このように、LINフレームの先頭部分(Synchフィールド)でクロック誤差の調整をすることで、各スレーブノードはマスターノードからフレームIDを受信し、データの送受信を行うことができます。また、フレームIDやデータが正しく送受信できたかどうかを各ノードが確認するために、LINフレームにはパリティ、チェックサムが含まれています。
LINフレームは、LINスケジュールによって各フレームの送信タイミングが重複しないように定義されます。その簡易的なハードウェア構成により、LINフレームの送信時間に「レスポンススペース」や「インターバイトスペース」と呼ばれる時間が含まれることを許容しており、これらの時間誤差を考慮してスケジュールを設計する必要があります(図5)。
LINフレームの送信に必要な時間は、以下の式で求めることができます。「公称タイミング」とはレスポンススペース、インターバイトスペースを含めず、Breakを13ビット(最小値)、Break-delimiterを1ビット(最小値)として求めたビット時間です。
レスポンススペース、インターバイトスペースなどの許容時間は、LINフレームごとに最大40%です。そのため、LINフレームの最大時間は、以下の式で求めることができます。
LINスケジュールの時間単位は、「タイムベース(Time_Base)」と呼ばれ、LINスケジュールを処理するための最小時間単位となります。例えば、タイムベースが5msとなっている場合、LINフレームの送信間隔は5ms単位で設定ができます。一般的にタイムベースは、5msまたは10msがよく使われています。
また、1つのLINフレームに必要なタイムベースの合計を「フレームスロット(Frame-Slot)」と呼びます。
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