ドライバーや歩行者の安全を守る安全システムについても、いくつかの新技術の展示が見られた。
富士重工業は、2010年5月に発売した「レガシィ」の改良モデルを展示した(写真15)。このレガシィは、ステレオカメラを用いた走行支援システムの新バージョン「EyeSight(ver.2)」を搭載している。EyeSight(ver.2)では、画像認識を行うソフトウエアと、画像認識の結果と連携してブレーキ動作を行う横滑り防止装置に改良が加えられた。その結果、プリクラッシュブレーキによって、自動で衝突を回避できるようになるなど、機能が向上した。
富士通セミコンダクターは、「全周囲立体モニターシステム」を公開した(写真16)。同システムは、車両の前方と後方、左右のサイドミラーの下部に設置した4台のカメラを用いて、車両と車両の周辺の風景を含めた立体的な映像をリアルタイムで表示することができる。同社は、4台のカメラを用いて合成映像を生成する画像処理ICの開発を担当した。
セイコーエプソンは、HDR(High Dynamic Range)カメラを用いたデモンストレーションを行った(写真17)。このHDRカメラは、短露光画像、中露光画像、長露光画像という露光時間の異なる3つの画像を合成してHDR画像を生成することで、120dBのダイナミックレンジを実現している。これにより、明暗の差が大きい環境下でも確実に撮影することが可能になる。
ベクター・ジャパンは、クルーズコントロール機能の開発に対応した測定ツール「CANape AMM」を展示した(写真18)。すでに、日立オートモーティブシステムなどで採用されている。
最後に、そのほかの注目展示を紹介する。
古野電気は、自律航法GPS(全地球測位システム)受信機「FUSION」を展示した(写真19)。車輪速データを使って左右の車輪の回転差からヨーレートを検出することで、ジャイロなどのセンサーなしに自律航法を実現した。
トヨタテクニカルディベロップメントは、米The MathWorks社のモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」向けのオプション製品「PDIC」を公開した(写真20)。Simulinkモデルから、並列分散処理に対応したC言語プログラムを生成できるようにする製品だ。
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