続いて、OESFが実施する公式認定トレーニングの取り組み、アプリケーション配布の仕組み、さらに、Android搭載カーナビの事例について紹介する。
Marketing & Educationワーキンググループでは、OESF公式認定トレーニングを実施している(OESFメンバー企業によるフランチャイズ開講)。
展示会場では、シミュレータ上でAndroidアプリケーションの作成・デバッグ手法を習得する「Androidアプリケーション開発入門(2日間)」と、Linux上の開発環境を使用し、実機上で動作するAndroidプログラムの作成・デバッグなどを習得する「Android開発者のための組込Linux入門(1日間)」の2コースを運営しているOESFメンバーのウェルインテクノロジー(旧ウェルビーン)が、実際にトレーニングで使用する開発環境やトレーニングで作成するRSSリーダーを展示していた。
また、その隣では、同じくAndroid向けのトレーニングコースを提供するナノコネクトが、Android技術者教育訓練「Androidエデュケーション」で使用するロボット通信制御のデモンストレーションを行っていた。
動画2 ナノコネクトのトレーニングで使用するロボット |
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OESFは、さまざまなデバイスへのアプリケーション配布を円滑に行うための仕組み作りにも取り組んでいる。現状のAndroid Marketでは、有償で提供できる場が少ない、今後想定される組み込みデバイスごとの判定・配布ロジックがないなどの課題があるという。こうした課題を解決するための検討・仕組みづくりを行っているのが、Application & Serviceワーキンググループだ。
現在、Application & Serviceワーキンググループでは、「OESF Certified SDK for MarketPlace」の開発を進めているという。
展示ブースでは、端末プレインストール用のダウンローダーアプリケーション「OESF Downloader」を搭載したAndroid端末から、アプリケーションをダウンロード/インストールするデモンストレーションを行っていた。「この取り組みの成果は、OESF Embedded Master2へ提供される予定だ」(説明員)。
OESFブースで最も製品化に近い展示・デモンストレーションを行っていたのが、中国のArcherMind TechnologyのAndroid搭載カーナビだ。
同カーナビは、ARM9ベースのチップセットが採用され、7インチのタッチ・スクリーンを搭載するほか、GPS、3G、Wi-Fi、Audio/Videoモジュールなどが組み込まれている。「通常のナビゲーション機能はもちろんのこと、Webブラウジングやマルチメディアコンテンツの再生、通話機能、SMS、オーディオ・ブックなどにも対応している」と説明員。
地図表示・検索エンジンについては、中国の地図コンテンツメーカーのライブラリを組み込んであるとのこと。中国の大手自動車メーカーからの依頼を受け、開発に着手し、現在、共同でテスト作業を行っているという。2010年第1四半期ころに中国の新車に搭載される予定だ。
カーナビ開発にAndroidを採用したメリットについて、説明員は「豊富なJavaエンジニア、そして、組み込みLinuxエンジニアの既存リソース・ノウハウを生かせる点が大きい」と話す。こうしたメリットを生かした短期開発と、それによる低コスト化、さらに、他に先駆けた早期市場投入を実現できる点が、Android採用の最大の魅力といえるだろう。今回のカーナビ開発はその好例といえる。
なお、同社展示スペースには、中国のeBook端末やOphoneなどが展示されていた。いずれも同社が一部開発に携わったという。
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今年のETは、とにかくAndroidに関する展示・デモンストレーションを行っているブースに人が群がっており、その注目度の高さをうかがい知ることができた。今回レポートで取り上げたOESFの活動が今後さらに本格化し、組み込み業界全体を巻き込んで“標準化”へ向かえば、早いタイミングでカーナビに続く、新たな製品が世に出てくるかもしれない。そんな期待を抱きつつ、引き続き、OESFの活動に注目していきたい。
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