日本型製造業ならではの課題を解決するSPBOM開催直前! DMS2009速報

統合BOMソリューション「SPBOM」を開発・販売するエクサは2009年6月24〜26日に東京ビッグサイトで開催される「第20回 設計・製造ソリューション展」に出展する。本稿ではその見どころを取材した。

» 2009年05月22日 00時00分 公開
[原田美穂,@IT MONOist]

日本型製造業の特性を生かした仕組み

 「SPBOMはカタログだけでは魅力を伝えきれない、他に類を見ないシリーズ製品製造向けのソリューションです」と、取材の冒頭で、株式会社エクサ 第3事業部 営業本部 担当部長 伴野高虎氏が口を開いた。

多品種少量生産型の製造業に即した仕組みをベースに各種BOMを自動生成

 なぜ「類を見ない」のかというと、BOM製品自体は各種あるが、たいていは案件ごとに作成したBOMを保管するという機能がメインとなっている。そのため、今まで作成したことがない仕様の製品のBOMが必要になった場合、新たなBOM作成に時間や人手がかかってしまう。結果として、新規製品の引き合いなどがある場合、コストや納期の算出、および部品表、図面、マスター作成にも時間がかかる。さらに、仕様の組み合わせによっては製造不可能な場合もあるがそれがBOMからは分からないため、受注後に大きな問題となる場合も多いのだ。

 「SPBOMの場合は、案件ごとに作成したBOMをその都度保管するのではなく、そのシリーズ単位で製造可能なBOMのルールを登録します。こうすることで、製品仕様として寸法などを入力すると、その仕様のBOM、コスト、納期、部品寸法などを自動生成できます」(伴野氏)

 例えば、寸法を10.0、10.02などの連続値で入力したい場合にも対応しているので、細かなバリエーションで展開したい製品での作業は容易になるだろう。日本の製造業は、多品種少量生産型が1つの強みだ。日本ならではのシリーズ展開を想定したBOM製品という意味で、SPBOMはまさに他に類を見ないものだろう。

コンフィグレータ(Cotta)が製品仕様改変を容易にする

 BOM生成の自動化はもちろんだが、このDMS展で注目したいのは、コンフィグレータ機能だ。続けて伴野氏からお話を伺う。

 「コンフィグレータを使用すると仕様を選択することで原価などを算出できますが、弊社のコンフィグレータの場合は、SPBOMに登録したデータから選択画面を自動生成します。そのため、製品の改変や新規製品追加の際にユーザーが画面やルールを定義する必要がありません。仕様の選択の順番も、従来型のコンフィグレータのように『想定された順序』ではなく、任意の順番で仕様を選択できます。さらに排他関係の制御も自動的に示されますから、製造不可能な組み合わせの仕様がある場合、1つのメニューを選択すると選択できない選択肢はグレーアウト表示となり、設定しないように制御できるのです」(伴野氏)

 今回出展される同社のSPBOMでは、この機能がコンフィグレータ(Cotta)として実装されており、製品のBOMのルールを登録するとコンフィグレータ画面が自動生成され、排他関係を考慮しながら選択肢を任意に絞り込み、製品仕様を決定すれば、寸法違い品などでも寸法値が入った各種部品表やBOMマスター生成、原価算出、スケジューラ用データ生成などが行える。また、コストシミュレータによる条件を変えての原価比較も可能だ。

今回取材に応じていただいた株式会社エクサ 第3事業部 営業本部 担当部長 伴野高虎氏(写真右)と株式会社エクサ 第3事業部 インダストリーシステム 第4開発部開発第2チーム 次長 藤田宏氏(写真左)

製品のBOMに関するルールを共有、最適な製品開発をも可能に

 システム構築に際しては、各社の持つポリシーやルールを適用していくことから始まる。同社の技術者が、顧客企業の担当者からさまざまなノウハウをヒアリングし、それを個別にシステムとして落とし込んでいく。それゆえ、作業は各社製品の現在のルールを確認していくことから始まる。同社の技術者が、顧客企業の担当者の運用しているルールをヒアリングし、それをデータとしてSPBOMに登録していくことになる。

 「1シリーズの製品に関してお客様と一緒にルールを確認しSPBOMに登録すれば、他の製品シリーズに関してはお客様自身で設定できるようになります」と語るのは、同社第3事業部 インダストリーシステム 第4開発部開発第2チーム 次長の藤田宏氏だ。

 なお藤田氏によると、ルールに関し、担当者ごとに別個に対応表を作成したり、表計算ソフトウェアを使用したり、独自プログラムを作成したりして管理しているケースがあるが、新製品の追加やバリエーションの増加により整合性がとれなくなったり、メンテナンスしきれなくなっている場合が多いという。

 「SPBOMには、複数のベテランのものづくり知識をルールとして蓄積することになります。そのため、SPBOMを使用することでルール作りについての知識共有が実現すnれば、新規製品企画検討においても、これらの知識を活用し、誰もが効率のいい製品作りを計画できるようになります」(伴野氏)

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 同社では、NPO法人 技術データ管理支援協会(MASP)を通じて、研究者やコンサルタントらと共同で多品種少量生産や派生品のものづくりを円滑に行うための枠組みを研究しており、成果も公開されている。これらの取り組みはSPBOMにも生かされている。

DMS展ではアスプローバと共同でブース出展する。生産スケジューラでの製造BOM作成もSPBOMの機能を利用することで、より効率を向上させられるという。 詳細はぜひ、同社ブースに立ち寄って確認していただきたい。

展示会名 第20回 設計・製造ソリューション展(DMS2009)
開催日 2009年6月24日(水)から26日(金)
会場 東京ビッグサイト
ブース番号 13-001(アスプローバ、エクサ共同出展)

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