LED照明は、その名の通り発光ダイオード(LEDチップ)を利用した照明です。LEDチップは、P型半導体とN型半導体がPN結合したもので、一方向(順方向)にのみ電流が流れます。順方向に電圧をかけると、LEDチップの中を電子と正孔が移動し、その途中で電子と正孔がぶつかります(この現象を再結合といいます)。
この状態では電子と正孔がもともと持っていたエネルギーよりも小さなエネルギーになるため、その際に電子が保有しているエネルギーの一部が光のエネルギーに変換されることで発光します。
LEDは熱くないと思われがちですが、実際は発熱しています。光には熱を含んでいませんが、照明器具には放熱部品によってLEDの熱を逃がす工夫がなされています。
また、光自体には赤外線部分が含まれていないため、光線は熱くありません。紫外線もほとんど含まれないことから、LED照明を使うと、美術品は劣化しないともいわれています。
LEDには赤や青、緑など、それ自体が色を発しているものがありますが、これはLEDチップ内に使用されている化合物に関係があります。化合物はGa(ガリウム)、N(窒素)、In(インジウム)、Al(アルミニウム)、P(リン)などがあり、どの化合物を使用する(場合によっては組み合わせる)かによって放出される光の波長が異なります。
光の波長は、図7のように450nm前後が青色、520nm前後が緑色、660nm前後が赤色に見えます。この波長の違いがLEDの発光色を決めています。
照明用途として見た場合、現状のLEDと蛍光灯を比べると、LEDはまだまだ効率が悪く(すべてが光として放出されるわけではないため)、器具の購入価格(イニシャルコスト)やその後の電気代などを考えると蛍光灯の方が断トツで良いといわれています。
ただし器具によっては、LEDの方が省エネ(低消費電力)のものも出てきているので、ランニングコストも含めた総合的な観点で見ると、近い将来LED照明が現在の蛍光灯照明と同じような位置に立つ日が来るかもしれません。
いま新しい家を建てる場合には、LED照明を取り入れている人も多いみたいだよ。LEDは点光源だから、一面を照らす蛍光灯とは違った演出をしたいシチュエーションなどにも向いているんだね。
リビングの間接照明としてLED照明を使用するのもいいかもね。
次回もお楽しみに!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.