三菱電機は、製造工程の上流と下流をつなぐ生産システムのトータルソリューション「DIAMxM(ダイアムマキシマ)」を掲げており、今回発表したMELNAVIは、その中核となるアプリケーションだ。
三菱電機は2009年3月26日、製造業の現場における生産実績や品質情報を可視化(見える化)する同社の製造実行システム「MES(Menufacturing Exection System)」の汎用パッケージソフトウェアとして、ERPパッケージやFAシステムとの連携を容易にした「MES 業務コアアプリケーション MELNAVI-AP Ver.2.1(以下、MELNAVI)」を発表した。
同社では、製造工程の上流と下流をつなぐ生産システムのトータルソリューション「DIAMxM(ダイアムマキシマ)」を掲げており、今回発表したMELNAVIは、その中核となるアプリケーションだ。
三菱電機インフォメーションシステムズ 取締役 第4事業本部長の藤本 俊平氏は「これまでは生産現場の見える化ということで、上流では製造情報や設計情報を統合・分析し、コストや在庫の把握を、下流ではFA機器周辺の情報収集を行ってきた。ERPやMES(注)はずいぶんと現場に浸透している。しかし、製造現場における今後の課題は上流と下流をつなぐことである。MELNAVIは、製造現場のタイムリーな情報を収集し、それを経営へリアルタイムに送ることができる。つまり、現場で見えた情報をすぐに“使える化”し、ムダをなくすことができる」と説明した。
(注)自動化された製造ラインの製造指示や生産管理、品質管理を行うほか、製造ラインで得られる情報をデータベースに取り込むことで、歩留まりや施設仕損率の推移から問題点を見つけるシステムのこと。適切な対策を促すことで製造現場の効率化、品質・生産性の向上を図る
MELNAVIには業種別のテンプレートを用意しており、導入時に新規のプログラム開発を行わずともMESの構築ができるという。テンプレートには、オプションとして製造指示、製造実績、工程進捗管理などの各種業務に対応したアプリケーションも付属するため、システム構築のさらなる省電力化も期待できる。
また、バーコードを読み取り、無線LAN経由で情報を送る主要メーカーの無線ハンディターミナルにも対応した。こちらもプログラムの開発は不要で、運用や保守などの負荷を軽減できるという。その他、フレクシェの生産スケジューラ「FLEXSHE GP」とも連携したことで、MELNAVIのデータベースに取り込んだ生産設備の稼働状況や実績を生産スケジューラへのフィードバックを可能にした。
以下、同社のデモンストレーションをもとに、MELNAVIを利用したDIAM×Mの概要を紹介する。
1)MELNAVIを起動する
Webベースのアプリケーションのため、製造現場でなくてもブラウザが使用できる環境であれば、場所を問わず、工程進捗、稼働状況などの確認、各部門への導入やメンテナンスが容易にできる
2)操作画面上で、行いたい工程を選択する
デモンストレーションでは、リモコンの検査工程を選択。今回は5つの工程から選択したが、テンプレートを使用することで自社に合った工程を登録できる
3)選択した工程の製造装置の情報、対象となる製造物の仕様を確認する
ERPと連携したデータの取り込みが行われる
納入期限、個数などの製品データも表示される
4)確認後、作業開始の指示をする
チェックを入れ生産開始ボタンをクリックする
5)製造装置に指示が送られ、動作が開始する
6)作業終了後、実績データがフィードバックされる
良品、不良品の数、操作時間などが表示される
7)終了
これらの一環した作業がリアルタイムに行われ、本来ならば紙で記録していた作業をPCの画面上で把握できる。
MELNAVIの対応OSはMicrosoft Windows XP SP3およびVista SP1。CPUはIntel Pentium 2.0GHz以上、必要メモリは1GB以上、HDDは1GBとのこと。連携できるERPパッケージは、SAPの「SAP ERP」および東洋ビジネスエンジニアリングの「MCFrame」で、今後随時追加していくとのこと。データベースを操作する際の言語は、オラクルの「PL/SQL」やSybaseの「Transact-SQL」に対応している。
なお、MELNAVIは2009年4月1日より販売開始され、価格は525万円(税込み)から。販売目標数は、2009年度からの2年間で30システムとのこと。
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