ETロボコン2009が始まる。今年は全国7地区で開催し、新走行体も登場。ソフトウェアの制御でどこまで作り込めるか。
組み込み技術者の育成をテーマにしたETロボコンが今年も開催される。2009年2月5日、都内で記者説明会が開催され、2009年度ETロボコンがキックオフした。今年は全国7地区(東北、北関東、東京、南関東、東海、関西、九州)で開催され、地区ごとの審査委員が設けられる。使用するロボットは、2008年度までのLEGO Mindstorms RCX(以下、RCX)に加え、新たに追加したLEGO Mindstorms NXT(以下、NXT)という2つの走行体から自由に選択できる。
昨年参加した方はもちろん、ETロボコンに興味を持った方は2009年のETロボコンにエントリーしよう!
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⇒ | ETロボコン2009大会スケジュール(ETロボコン2009公式ホームページより 随時更新) 実施説明会は地区大会が開催される5地区に加え、北海道と石川県、沖縄県で開催される。エントリー開始は実施説明会後すぐに開始され、4月6日火曜日が締め切りだ。 |
それではまず、ETロボコンの概要から紹介する。
今年で開催8年目を迎えるETロボコンは、若手技術者の育成、技術力の向上、他開発者との交流をテーマにしたJASA(Japan Embedded Systems Technology Association:組込みシステム技術協会)主催のソフトウェアデザインコンテストだ(注)。ライントレースロボットの走行タイムとソフトウェアの性能を競う。参加者は年々増加し、昨年は過去最大の291チーム、約1500名が全国から参加するなど、大きな盛り上がりを見せた。
7〜9月にかけて地区大会が開催され、11月のET(組込み総合技術展、同じくJASA主催)内で全国大会(チャンピオンシップ大会)が行われる。参加者の伸び率でいえば、ETを上回る高さだという。
ETロボコンの魅力は、ソフトウェアの設計・分析モデリングやロボットのレースを通じて、ものづくりの楽しさを得られるところにある。参加者全員で同じ仕様の走行体を使用し、ソフトウェアの制御だけでいかに速くバランスのよい走行を行わせることができるかが勝負だ。
開催地区は、昨年の5地区から、新たに南関東と北関東の2地区を追加した計7地区。組み込みの開発現場が地方にも多く存在し、可能な限りそうした企業と、地域との密着型で実践的な教育を提供していきたいという思いから、開催地区を増加したという。
「全国で開催できる体制ということで、2006年までの東京に加えて2007年には東海、関西、そして昨年(2008年)は東北、九州で開催しました。各地区大会、チャンピオンシップともに非常に盛り上がり、参加者数も右肩上がりです。中でもチャンピオンシップ大会は協議会で広い場所を用意したつもりでしたが、あふれんばかりの人で、非常に多くの方に来ていただけた有意義な大会だったと感じております」(ETロボコン副実行委員長 渡辺 登氏)
「ETロボコンのメインテーマは人材育成ということで企業の若手技術者や高校生以上の学生をターゲットとしています。彼らは、座学ではUMLなどを学ぶ機会はありますが、実践的な教育というのはあまり行われていません。モデリングは、プログラミングと同じように実際に手を動かしてやってみないことにはスキルとして身に付きません」(渡辺氏)
ETロボコンは産学官の連携ということで、主催のJASAをはじめ、モデリングのスキルを持つ開発現場の経験者がETロボコンの運営を行う実行委員としてボランティアで参加している。地区大会の前に行われる技術教育会や走行競技のモデルワークショップは、ベテランの開発者から実践的な教育を受けられると、参加者からの評判が非常に高い。なお、ETロボコン実行委員のメンバーも募集中とのことなので、ぜひともチャレンジしたいという方はETロボコン実行委員会へ連絡してみてはいかがだろうか。
ETロボコン実行委員長の小林 靖英氏は次のように語る。
「ETロボコンは、単なるロボットレースの大会ではなく、ソフトウェア技術者の人材教育を主体にETロボコンという1つのプラットフォームを提供することで、技術者育成を支援するコミュニティ活動です。開発環境をどう構築するか、ロボットを動かすには何を考えなくてはいけないのか、という要素技術を考えるところから始まります。大会期間中はメーリングリストなどを通じて実行委員に質問をしたり、技術教育会では普段からセミナーや講習を行っている技術者から講習を受けられます。地区大会後の懇親会では他企業の方との交流が図れますし、モデリングに関する素朴な疑問をその場で審査員に聞くことができます。ETロボコン2009は新しい走行体が加わり、そして地区大会の増加と、参加者もわれわれ自身も挑戦しているということで進めていきます。ETロボコンに興味を持った方は、一緒に挑戦していきましょう」(小林氏)
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