東芝とミライズテクノロジーズは、量子インスパイアード最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン」を搭載した自律移動ロボットの高精度制御に成功した。複雑な環境下での物体追跡精度が最大23%向上している。
東芝とミライズテクノロジーズは2026年2月24日、東芝独自の量子インスパイアード最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」を自律移動ロボットに搭載し、高度に制御可能であることを共同で実証したと発表した。量子インスパイアード最適化計算機を移動体内部に搭載して、直接制御に適用したのは世界初だ。
同実証では、SBMを活用した多体物体追跡アルゴリズムを開発し、組み込み向けFPGAに実装した。これにより、複数の移動体が交差したり遮蔽(オクルージョン)が発生したりする複雑な環境下でも、物体を見失わずに追跡できる。オクルージョン評価向けのベンチマークでは、従来手法と比較して追跡精度が23%向上していた。
また、東芝独自の回路設計技術により、組み込み向けFPGA上での高速動作が可能になった。多体物体追跡における検出と追跡の処理を23fpsで実行できることを確認しており、これは自動運転で一般的に求められる10fpsを大きく上回る。これにより、従来は高性能サーバが必要だった高度な最適化処理を、低消費電力の小型組み込み機器で実行できるようになった。
両社はミライズテクノロジーズが開発した自律移動ロボットに同FPGAを搭載し、動く障害物を避けつつ、経路を選択できるか実証した。回避や経路選択の高度化には、SBMを用いた物体追跡情報を活用した。ロボットはカメラやセンサーで周囲の状況を確認しつつ、多体物体追跡技術を活用して静止物体と動く物体が混在している状況下でも、リアルタイムで効率的に経路を選択できた。
両社は、実証した組み込み向け量子インスパイアード最適化技術を、自律制御分野で広く展開する。今後は複数ロボットの協調制御やリアルタイムでの経路最適化など、製造業や農業、スマートシティーなど多様な現場ニーズに応じて適用範囲を拡大していく。
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