オーダーを受けてから始めるのではなく、事前にできることはやっておく。ある意味でリードタイム短縮の切り札というべき方策だ。
設計を標準化できれば、個別に仕様を検討せずに過去の図面を流用でき、また部品を共通化できればロット切り替えの時間に悩まずに済む。王道の対策であるが、“当たり前のことだがなかなかできない”課題でもある。浜の真砂のごとき顧客の個別要求にどこまで対応するか、会社としてのポリシーが問われるからだ。
製品を在庫化すれば受注から納入リードタイムは短くなり、部品在庫を抱えれば購買リードタイムはゼロにできるが、その問題点は上に示したとおり。
正式の受注を受ける前に、納期の長い部品などの購入手配を掛けておくこと。リードタイム短縮にかなり貢献するが、当然大きなリスクを伴うため、継続的な顧客との関係構築などが前提条件になる。
サプライヤからの納入リードタイムを少しでも削減したければ、相手に対して事前に予告を出しておくことが、最も効果の高い方法である。これは社内工程に対しても同じで、進ちょくを社内に開示すること(スケジュールの可視化)で、後工程が事前準備できるようにする。リレーのバトンタッチのように、助走して準備しておくことが効率を上げる(図2)。
以上、総じていえることだが、リードタイム短縮に効果の高い方策は、ほとんどが工程設計・生産技術上の改善を含んでいる。生産計画担当者レベルで行える対策は、
などだ。これらをうまく実現するためには、需要の先読みが必要となることに、あらためて注目してほしい。精度が上がれば上がるほどリードタイムは短くできる。需要の先読みが、計画レベルでのリードタイム短縮における最大の武器なのである(次回へ)。
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