BusyBox+uClibcによるWebサーバを動かすためのファームウェアを実際にOpenBlockS266に書き込んでWebサーバを動作させる。
前回「組み込み機器にBusyBoxとuClibcを導入しよう【前編】」では、組み込み機器(ぷらっとホーム社のOpenBlockS266)上で、BusyBox+uClibcによるWebサーバを動かすためのファームウェアを作成しました。
今回はこのファームウェアを実際にOpenBlockS266(以下、OBS266)に書き込んで、設定し、Webサーバを動作させてみたいと思います。
まず、前回作成したファームウェアをOBS266に書き込むための準備を行います。ファームウェアの書き込みに必要なこととしては、
があります。なお、本稿で紹介するファームウェアの書き込み作業に失敗して、万が一、OBS266が起動しなくなった場合はOBS266のユーザーズガイドを参照して復旧してください(注1)。
それでは、上記で挙げた3つの作業について順を追って説明していきます。
OBS266に対してファームウェアの書き換えや設定などの作業を行う際は、OBS266のネットワーク設定がきちんと行われている必要があり、適切に設定しなければLAN経由で接続することができません。そのため、こうした作業を行う際は、一番手軽で安心な手段であるシリアル経由での接続を選択した方がよいでしょう。
もちろん、シリアル経由でOBS266に接続するには、ホスト側にシリアルポートが必要となります。もしホスト側にシリアルポートがない場合はUSB−シリアル変換アダプタなどを活用するとよいでしょう。
ホスト側とOBS266とをシリアルケーブルで接続したら、ホスト側でターミナルソフトを起動します。Linux上で使えるターミナルソフトには「minicom」や「cu」などがあります。ちなみに、「cu」はrootユーザーで以下のようにしてインストールします。
# yum install uucp
Fedoraの場合 |
# apt-get install cu
Debianの場合 |
そして、以下のように、OBS266と接続しているデバイス(注2)と接続スピード(9600bps)を指定して、「cu」コマンドを実行する(注3)と、OBS266に接続できます。なお、「cu」コマンドを終了して接続を切るには、“~.”の2文字を入力します。
# cu -l /dev/ttyS0 -s 9600 Connected. LinuxServer login:
OBS266へファームウェアを転送する場合、デフォルトのOBS266では以下の方法を取る必要があります。
BusyBoxにはFTPサーバがなく、また前回作成したファームウェアにはFTP転送用として「ftpget」と「ftpput」を組み込みましたので、ファームウェア書き込み後のことも考え、ここではホストにFTPサーバを立てて転送してみます。また、OBS266のネットワーク設定は、ユーザーズガイドに従って設定されているものとします。
まず、FTPサーバをインストールしていない場合、rootユーザーで以下のようにしてFTPサーバをインストールし、起動します(注4)。
# yum install vsftpd # service vsftpd start
Fedoraの場合 |
# apt-get install vsftpd # vi /etc/vsftpd.conf ※エディタで"local_enable=YES"および"write_enable=YES"を有効にします # /etc/init.d/vsftpd restart
Debianの場合 |
シリアル経由で接続したOBS266から、ホストのFTPサーバへ試しに接続してみましょう。シリアル経由でrootにログインしてホスト(以下の例ではIPアドレスが192.168.2.11)へFTPで接続し、ホストのローカルユーザーとしてログインすると以下のようになります。
LinuxServer login: root ←OBS266にシリアル経由でrootにログイン Password: SSD/Linux 0.4-20070702/2.6.16 #1 Sun Jul 1 10:30:53 JST 2007 # ftp 192.168.2.11 ←ホストへFTP接続 Connected to 192.168.2.11. 220 (vsFTPd 2.0.6) Name (192.168.2.11:root): shinji ←ホストのローカルユーザーでログイン 331 Please specify the password. Password: 230 Login successful. Remote system type is UNIX. Using binary mode to transfer files. ftp>
OBS266では、ネットワークやサービスの設定ファイルの変更を保存するために、Flash ROMに設定ファイル保存領域があります。起動時には図1にあるように、ファイルシステムをマウント後に、ここに保存されている設定ファイルを上書きしてからinitプロセスが開始しています。
新しいファームウェアを書き換えた後、そのファームウェアに合わせてこの設定ファイル保存領域を書き換えますので、現在の設定を保存しておきたい場合は以下のようにしてアーカイブし、FTP経由でホストに転送して保管するのがよいでしょう(注5)。
# tar -zcvpT /etc/flashcfg -f obs266-backup.tar.gz
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