品質管理のための代表的な統計手法である実験計画法について、実践的な手法を短期間に習得したいと希望している読者に向けて、Excelを使って効率的に独学できるような解説を行う。
今回より、標本から母集団の状況を推測するさまざまな推測統計の方法を解説していきます。しかし、推測統計だけを理解しても実務では役に立ちません。そこで事例を通じて、データ収集の計画から解析まで、全体の流れを解説します。
工場Aは、ある製品を2交替のシフト(昼勤と夜勤)で大量生産している工場で、あなたの業務は、各シフトで製造される品質(=製品重量)に違いがあるかを調査することです。
大量生産している製品すべての重量を測定するのは不可能です。そこで、抜き取り検査を実施します。抜き取り検査で重要なポイントは、
です。理由は、前回記載したフィッシャーの3原則、「無作為化の原則」と「反復の原則」を参照ください。今回は、各シフトで時間当たり1個程度の製品を検査する、次のような抜き取り検査を計画しました(注1)。Excelには乱数を発生させる関数があり、それを利用することで抜き取り検査の計画を立てることができます。
注1:取りあえずチョコ停や休憩時間などによるライン停止の影響は無視します。実際は想定数よりも多めの数を設定した方がよいでしょう。
TIME関数は、図2のダイアログで時間を表示する関数です。
RANDBETWEEN関数は、図3のダイアログでaとbの範囲で任意の乱数を発生させる関数ですが、アドインの起動が必要になります。関数の確認ができない方は、メニューから[ツール]→[アドイン]→[分析ツール - VBA]にチェックを入れてください(Excel 2003)。関数の詳細はExcelのヘルプをご参照ください。
この方法を応用することで、秒単位での時間設定(列を追加して、秒を示す乱数を発生させる)や昼勤と夜勤で検査個数を同数(RANDBETWEEN関数の設定を変更する)するなど、さまざまな計画を立てることができます。
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