東京大学とNEDO技術開発機構は、センサ単位の画像処理でリアルタイム制御を行う画像モーメントセンサを開発した。
2008年7月22日、東京大学情報理工学研究科と独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO技術開発機構)は、NEDO技術開発機構の産業技術研究助成事業の一環として、同大学講師の小室孝氏が、イメージセンサと画像処理回路をワンチップ化した「画像モーメントセンサ」を開発したと発表した。
同センサは、撮像と画像処理をセンサ内の専用回路にて画素単位の並列処理を行うことで、リアルタイムでの演算を実現。産業用ロボットが対象物を操作する動作や、情報端末における人間の手や指の動き(縦、横、奥行き方向)の認識など、瞬時なレスポンスが必要とされる動作の制御で威力を発揮するという。
また、従来のビジョンチップでは48×32画素であった解像度を128×128画素とし、かつ感度を向上、回路面積を13%縮小した。画像そのものではなく機器制御に必要な情報のみ出力し、毎秒1000のフレームレートのリアルタイム視覚情報処理を、小型、安価な構成で実現している。
さらに、CMOSイメージセンサの画素ごとに簡便な処理回路を付加することで、画像内に映った複数の対象の大きさ、位置、形状、重心、傾きなどの情報を、個別に取得できる。形状ごとの分類や、光が当たっている部分の情報のみを得ることなども可能だという。
今後、同センサは産業用ロボットの制御や工作機械の位置決めや3次元計測のほか、各種検査、監視、セキュリティ、微生物の継続観察、入力インターフェイスといった幅広い用途への適用が見込まれる。量産する場合は1台1000円台での販売も可能としている。
東京大学情報理工学研究科とNEDO技術開発機構は、共同開発パートナーを募集し、LSIメーカーや画像機器メーカーへの技術委託、アプリケーションの開拓、センサ感度の向上、そのほか画像処理LSIなど高フレームレート画像処理に関する研究を進めていくという。
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