環境保護へのニーズにも対応し、3次元も制したいオートデスク 2009年度 事業戦略記者説明会

» 2008年03月05日 00時00分 公開
[小林由美,@IT MONOist]

 オートデスクは2008年3月5日、事業戦略記者説明会を行った。

 「『2次元製品はすでに制した』という米Autodesk CEO カール・バスからのコメントもあったことだし、これからの当社は3次元製品により力を入れていく」とオートデスク 代表取締役社長 兼 米Autodesk バイス プレジデント 鬼澤 盛夫氏はいう。

 かつて、付き合いの長い知人に「(オートデスクが)いまから3次元製品に力入れて成功するものなのか?」と聞かれたこともあったという。その問いに「3次元製品は、一部分において深く普及している。しかし広く普及しているとはいえない。当社はまだまだそこに大きな市場があると考える」と鬼澤氏は答えた。

 今回の説明会で、鬼澤氏は 「Autodesk 3.0」というコンセプトを打ち出した。1.0とは1982年にオートデスクを創業しAutoCADを売り出していったことを指し、2.0とは1990年代、2次元製品だけではなく3次元製品にも着手および充実を図ってきたことを指すとした。3.0では3次元データやフォトリアルCGを生かして、量産試作前の解析・シミュレーション、意匠的な評価の早期実現、マーケティングの早期展開などを支援する。ライフサイクルの短縮化、市場における競争の激化、環境問題など、近年企業を悩ます問題へトライするという。

 「これからのオートデスクは、『サステナビリティ・デザイン』という言葉をよく使うことになる」(鬼澤氏)。企業における環境保護(サステナビリティ)への関心は近年高まってきており、同社でも製品を通してそのニーズへ応える取り組みを強化していくとした。

オートデスク 代表取締役社長 兼 米Autodesk バイス プレジデント 鬼澤 盛夫氏

 また同社は2009年度より、国内において産業フォーカス体制を始動するとしている。従来では1つの企業への製品提案やサポートも、例えば「この話なら建築部門担当に」「その話なら機械部門担当に」と、製品に主軸を置いた体制になっていた。だがこれからは、産業ごとの担当が付くことになるという。自動車メーカーのサポートなら「自動車産業担当」が付くことになる。

 自動車メーカーだから、と機械CADだけを提供するのではない。自動車を生産する工場を設計・管理するための建築系ツール(グリーンビルディング支援ツール)の提供やサポートまで行うことで、企業の環境保護へのニーズに答えていきたいという。幅広い分野への事業展開を売りとしてきたオートデスクの特徴を生かした戦略といえる。

 鬼澤氏は、昨年度から行ってきたチャネル体制を引き続き革新していくとも述べた。パートナーとの協力体制を強化するため、社内の人員増強と併せ、営業現場でデモが出来る環境も用意するなど営業ツールの強化もしていくという。なお営業は従来通り代理店が一切行い、同社担当はあくまでコーチングやアドバイスを行う立場だとした。

 また「オートデスク製品は64カ国に対応しているが、そのようなローカライズのみでは不十分だ。当社では、他国では売らない“日本だけのための”3次元製品を準備している。今年の夏には発表したい」と鬼澤氏は話したが、具体的にどのような製品かはまだコメントできないとのことだ。

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