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» 2006年01月24日 00時00分 公開

ソフト開発を重視しない業界体質に変革を組み込み開発者の本音トーク(前編)(3/3 ページ)

[宮崎 裕明 横河ディジタルコンピュータ,@IT MONOist]
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―― 開発現場の人は、現状を改善しようという意識を持っていないのでしょうか?

A氏 何かしなきゃと思っていても、「何か」を見つける時間がないのが現状ではないでしょうか、開発部隊には。そもそも計画だって、1日、1日崩れていくような状態。お客さまからトラブルの連絡があれば、開発者はまずそれに対応しなければならないので、開発作業ができなくなる。休日出勤も多いので、考える時間もあまりないし、そもそも追われているから時間を作ろうにもできない。開発者として怠けているともいえるかもしれないけれど、毎日午前2時、3時に帰るような状況では、時間を作ろうなんてとても思えないし、情報を集めることもできない。

C氏 そうそう、2時、3時ね。

A氏 体もおかしくなりますよ。夜中の2時とか3時まで仕事して帰っても、すぐには眠れないし。私は通勤が車なんですが、そんなときには朝会社に行くまでがとにかく眠くて仕方がないんですよ。信号で止まっただけで寝たくなっちゃう。情けないのですが、ただ寝たいだけなんですよね。したいことは何かといえば、寝ることだけ。

B氏 私は、電車の行き帰りで睡眠は補充できたし、一応終電では帰れていたので人間的な生活はできていましたけどね。

C氏 毎日終電で人間的っていってていいのかな(笑)。

C氏 C氏。測定器ソフトウェア開発のスペシャリスト。開発メンバーのマネジメントをする立場で、プロセス改善の成功/失敗事例を数多く見てきた

何かしなければ何も変わらない

―― 開発プロセスを改善しなきゃと強く思ったのは、どの辺にきっかけがあるのでしょうか。

A氏 これじゃ、もうできないと思いました。例えば、誰もができないと思っている計画がそのまま進み、死ぬ気で働いたけれど、結局駄目だったということもありました。でも、そんな経験をしても何も変わっていない。このような状況の中、開発者以外にもソフトウェア開発の置かれている状況を分かってもらわない限りは、現状の開発体制のまま動いてしまうのではないかという、危機感を感じました。いま私はできるだけ、関係者に開発プロセス改善の情報を流したり、集めてきた資料などを見せたりするようにしています。現場の人と話をして改善活動をやってみようという話になっても、上に持っていくと、短絡的にやればできるんだなということになってしまうので、ちゃんと理解してもらってから始めないと何も変わらないと思っています。いまは、だんだん、じわじわと意識付けしている状態です。

B氏 私の場合は、指定の品質管理ツールを使わなければならないという事情がありました。マイルストーンもすでに決まっていました。ハードの日程はこうだから、ソフトはこの日程でという感じです。昔は、1年から2年、500人から1000人と投入していましたが、コストダウンのために期間も人も減らされつつあったころです。ハードの仕様がもらえない、途中でハードが変わったり追加になったりするという状況で、この日程ではできないということを納得してもらわなければならなかった。そのために、ハードの仕様がここまでにできていないと対応できませんよというアラームを出すための資料を集めました。当初は、その品質管理ツールの式どおりに画一的に計算されたので、普通と比較すると何倍も品質は悪いし、期間は遅れるしと、散々いわれましたよ(笑)。とにかく、自分たちがやってきたことの資産をなるべく残すようにしました。納期は絶対なので、できるようにする。もしも最初から無理な工程なら、それはできないということを主張できる資料を作る。これが大変だったのですが。



 前編では現状の問題点を明らかにできた。後編では、より明るい未来に向け、どうやって開発プロセスを改善したらよいかについて議論を発展させる。お楽しみに。(後編に続く)


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