パシフィコ横浜にて、「Embedded Technology 2005」が開催された。併催イベント「ETロボコン」の模様も併せてレポートする
携帯デバイスあるいは「キーボードを備えていないシステム」において、テキストの入力をいかに快適にするのか。PCに慣れた身にとって、PCではないコンピュータへのテキスト入力は、単語レベルでも苦痛でしかない。また、日本ではかな漢字変換をはじめとする日本語処理も要求される。これらを限られたリソースで実現することが求められる。
この分野の草分け的な存在といえば、オムロンソフトウェアの「Wnn」である。しかし、Wnnはすでに単なるかな漢字変換ソフトウェアではないのである。
同社ブースでは、「Advanced Wnn」を中心とした日本語入力ソリューションを展開していた。参考出展の「Mobile OmCR」は、携帯電話やデジタルカメラで撮影した画像に含まれる文字をテキスト化するOCRソフトである。ブースでは、名刺を携帯電話のカメラで撮影するとMobile OmCRでテキスト化し、さらに英和辞書と連携してテキスト化した英単語の意味を出力するというデモを行っていた。
「Mobile OmCR」の単体提供はこれからだが、Advanced Wnnと組み合わせた形ではすでに出荷されているという。
同じく参考出展の日本語形態素解析エンジン「Mobile Morpho」は、Advanced Wnnと組み合わせると受信メールを形態素解析して辞書に反映し、Advanced Wnnの予測機能と連動して効率的な日本語入力を実現するという。
富士ソフトABCのかな漢字変換ライブラリ「FSKAREN」は、ワンタッチ変換機能が特徴である。例えば、携帯電話で「お父さん」と入力する場合、
[あ]×5+[た]×5+[あ]×3……
で17回のキープッシュが必要だ。もちろん、プッシュミスがあればさらに増える。FSKARENのワンタッチ変換の場合、
[あ]+[た]+[あ]+[さ]+[わ]
と、各行の最初の段を入力するだけで候補が絞り込まれ、かな漢字変換済みの「お父さん」が第1候補になる。慣れが必要だが、コツをつかめばかなり効率的に入力できるだろう。
「限られたハードウェアリソースでよくぞここまで」と感心したのが、NECエレクトロニクスの音声入力&翻訳システム。携帯電話の音声入力操作(音声によるアドレス帳の呼び出しなど)はESECでも実現していたが、今回はそれを一歩進めて音声入力した日本語を英語に翻訳するシステムを出展。
PCではいまひとつ有効性が弱かった音声入力だが、携帯デバイスにおいてはキー入力や手書き入力とともに有力な手段となり得るのではないか。日英翻訳すら実現したNECエレクトロニクスのシステムを見ていると、音声による日本語入力くらいすぐ実用になるのではないかと感じる。
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