組み込みの「いま」が凝縮された展示会、ESEC。3日間にわたって会場を回って集めた各社の最新製品や動向をお伝えする
NECのFOMA携帯をはじめ、採用実績を着実に伸ばしている組み込みLinux。今年に限ったことではないが、ESEC会場の各所で「Linux」という単語が掲げられており、「Linuxであること」あるいは「Linuxに対応していること」は珍しいことではないといえるだろう。
組み込みLinux専業企業としては、モンタビスタソフトウエアジャパンが出展。カーネル2.6を採用したモバイル向けLinux、Mobilinux 4.0や通信インフラ向けのMontaVista Carrier Grade Edition 4.0などを展示。また、kernel.orgの標準カーネルとMontaVista Linuxによるリアルタイム性能の比較が注目を集めていた。
アックスは、同社の主力製品axLinuxを中心に、パートナー企業の製品を展示。「axLinux入ってる」をキャッチコピーに、東芝のMeP評価ボードや日本超LSIシステムズの開発キット、三洋電機のLC690132A開発キット上でaxLinuxを稼働させていた。
TimeSys Linuxを国内で扱っている日新システムズは、Linux以外の製品も含めてさまざまな製品を展示していた。Linux関係では、TimeSysのカーネル2.6対応開発ツール「TimeStorm Tools」製品群を展示。TimeStorm Toolsは、Eclipseベースの開発環境「TimeStorm IDE」や移植/組み込み支援ツール「TimeStorm LDS」、移植テストツール「TimeStorm LVS」などで構成されている。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | モンタビスタソフトウエアジャパン |
⇒ | Mobilinux 4.0 |
⇒ | MontaVista Carrier Grade Edition 4.0 |
⇒ | アックス |
⇒ | 日新システムズ |
非組み込み分野の技術者でも、オラクルの「Oracle Lite」やIBMの「DB2 Everyplace」という製品は知っているだろう。この分野は意外に競合製品が多い。
アイエニウェア・ソリューションズの「SQL Anywhere Studio」に含まれる「Ultra Light」もまた、組み込み機器向けのRDBである。資料上の対応OSはWindows NT/2000/XP/XP Embedded/XP Tablet PC Edition、Windows CE、Palm、Javaとなっているが、案件ベースで各種組み込みLinuxにも対応するという。
Ultra Lightの特徴としては、組み込みデバイス(業務端末やPDAなど)単体で完結するだけでなく、基幹データベースとの同期を重視していることが挙げられる。同社の同期サーバを介することにより、同社のAdaptive Server AnywhereだけでなくOracleやDB2といった他社製RDBMSとも同期できるという。
ガイロジックが展示していた「eXtremeDB」も興味深い。同製品は米国McObjectの組み込み向けデータベースで、DBエンジン本体、テーブル、DBアプリをすべてオンメモリ化することで高速性を実現している。逆に、テーブルの一部をストレージに退避させるといった使い方はできないため、大きなテーブルを使うにはその分の物理メモリを実装するか、テーブルを細かく分割して必要な部分のみを利用するといった工夫が必要になる。ちなみに、米国陸軍戦闘ヘリ「アパッチ」や原発などに採用されるなど、クリティカルな分野での採用実績を持っている点は見逃せない。
この分野にこれから参入しようとしている日立製作所は、「HiRDB Embedded Database Entier」を参考出展。同製品は、HiRDBを開発しているチームが組み込み向けに開発した小フットプリントのRDBMSで、2006年初旬販売開始予定とのことである。SQL92準拠でインクリメンタルサーチや地図検索機能を装備。GUI/CUIの管理ツールも用意されている。会場では、PDA上でインクリメンタルサーチや地図を表示して半径xメートル以内の飲食店、設定した経路沿いにあるコンビニの表示といった機能を試すことができた。
アイエニウェアの製品と異なり、デバイス単体での動作が前提でサーバとの同期機能はないという。ただし、要望があれば同期機能も検討するという。
関連リンク: | |
---|---|
⇒ | アイエニウェア・ソリューションズ |
⇒ | ガイロジック |
⇒ | 日立製作所 |
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.