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リチウムイオン電池の正極材製造の新技術によりCO2排出量を20%以上削減:材料技術
プロテリアルは、リチウムイオン電池の正極材製造の新技術を開発した。CO2排出量が多い前駆体製造工程を省略し、従来の製法に比べ、正極材製造プロセス全体におけるCO2排出量を20%以上削減できる。
プロテリアルは2023年5月23日、リチウムイオン電池(LIB)の正極材製造の新技術を開発したと発表した。CO2排出量が多い前駆体製造工程を省略し、従来の製法に比べ、出発原料由来のCO2排出量を30%超、正極材製造プロセス全体におけるCO2排出量を20%以上削減することが可能となった。
同技術は、粉末治金技術をベースにした固相反応法に基づいている。水溶性物質以外を出発原料とすることに着目して開発を進め、従来の製法で必須だったニッケル(Ni)の硫酸ニッケル(NiSO4)化、水酸化ニッケル(Ni(OH)2)化を経ずに、正極材を製造することに成功した。初期容量、容量維持率についても、従来製法と同等の電気特性を持つことが判明している。
欧州では、電気自動車(EV)の走行時のみならず、製造から廃棄に至る全体のCO2排出量を評価するLCA(Life Cycle Assessment)規制が議論されている。LIB製造は、EV車両の製造でのCO2排出量で大きな割合を占めており、同技術は、製品のライフサイクル全体での環境負荷低減に寄与する。
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