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時間の6割をデータ集めに費やす状況を変える、AVEVAが見る日本市場製造マネジメント インタビュー

化学業界などを中心に産業用マネジメントソフトウェアをグローバル展開するAVEVA。同社 CEOのピーター・ハーベック氏に日本市場に関して話を聞いた。

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 AVEVA(アヴィバ)は化学業界などを中心に産業用マネジメントソフトウェアをグローバル展開する企業だ。1998年に日本法人を立ち上げて以来、エンジニアリングの価値向上や工場やプラントでのデータ活用推進につながる国内企業向けの提案を加速している。最近では2022年11月に、製油所のデジタルツイン導入につながる設備管理ソリューション「AVEVA Asset Information Management(AIM)」をENEOSに導入した。同社が日本市場をどのように見ているか。AVEVA CEOのピーター・ハーベック(Peter Herweck)氏に話を聞いた。


AVEVA CEOのピーター・ハーベック氏

デジタルベースの考えで課題解決を

――AVEVAにおける日本での事業展開の方向性を教えてください。

ピーター・ハーベック氏(以下、ハーベック氏) AVEVAは日本を含めたアジア/太平洋地域で大きな結果を残してきた。私のキャリアは日本でのソフトウェア開発エンジニアからスタートしたが、もちろん当時と今では状況は異なる。ただし、日本のGDPに占める製造業の存在感は強いまま変わらない。日本の製造業の製品は非常に高品質な設計、製造プロセスを経て生産されている。いわゆるデジタル化やESG(Environment:環境、Social:社会、Governance:ガバナンス)の観点で見ると、グローバル企業にとってこれは非常に重要だ。

 現在の産業界にはデジタルベースの考え方が必要となる。サプライチェーンの調整や物価変動、労働力不足、リモートワークなど解決すべき課題は多くあるが、これらは複雑な関係にあり、時に矛盾し合う。正しい決定を下すには、活用するデータの透明性を担保することが必要だ。これによって企業はアクティビティーを設計、運用、最適化できる。サステナビリティが求められる中、持続可能なパフォーマンスを促進し、事業価値を高められる。

 AVEVAは材料調達やエンジニアリング、設計といった企業活動のサイクルを短縮するために、シミュレーションやクラウドシェアリングを支援する。ALM(アセットライフサイクル管理)を通じて、設備を適正な規模におさめる手助けも行う。

――日本企業のデータ活用の状況をどのように見ていますか。

ハーベック氏 プラントや工場でこれまでつながっていたもの、あるいはつながっていなかったものを互いに接続するIoT(モノのインターネット)が重要になる。国をまたいでプラントのITとOT(制御技術)をどのように1つにまとめていくかを考える必要がある。

 例えば、化学製造業の場合、まず原材料を製造してそれを別のプラントで加工する。この際に、いかにしてさまざまなプラントのデータを集めて効率性を高めるかが重要だ。しかし、多くのデータサイエンティストは勤務時間の60%をデータ収集やソーティング、可視化といった活動に割いている。ということは残りの40%の時間でしか、実際にデータを分析する時間がない。逆に言えば、そこにデータ活用のポテンシャルが残されており、当社としてはその可能性を引き出す支援をしていく。

 製造業では企業が持つデータは毎年2倍のスピードで増加している。多くの企業トップは自社内に十分なデータが存在することに気付いているだろう。データ収集できる仕組みはできており、それを活用できるアプリケーションや仕組みを探し始めているというのが今の状況だ。

――2022年9月にPLMを展開するアラス(Aras)との提携を発表しました。協業を通じて目指すところを教えてください。

ハーベック氏 当社はALM(アセットライフサイクル管理)に焦点を当てたプロダクトを提供している。ALMは製造機器など設備資産のライフサイクルや関連ドキュメントを管理するものだ。BOM(部品表)を軸としたPLM(製品ライフサイクル管理)を提供する企業は多いが、ALMを提供する企業は多くない。そのため現状で、競合になり得る企業はいないと考える。

 アラスとの提携では当社の強みにアラスのPLMをうまく掛け合わせることで、協業できると考えている。まず、アラスと新たなALMの開発チームを共同で立ち上げる。自動車、航空機などを除いた製造業に向けて、AVEVA側でアラスのPLMソリューション「Aras Innovator」を販売していくことも考える。

 なお、自動車、航空機などを外したのは、これらの産業ではPLM上でのCADデータ管理が非常に重要になるからだ。一般的に、PLMのプラットフォーム上にはCADの機能が搭載されている。こうした領域までカバーするのは難しい。一方でその他の製造業に対しては、CADはCAD、PLMはPLMと独立した形で訴求していけるのではないかと考えている。

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