企業に求められるDX(デジタルトランスフォーメーション)でもさまざまな取り組みを進めている。DXではAI(人工知能)やビッグデータの利活用拡大が必要になるが、これまで京セラのITシステムは各部署間で互換性がなく、異なるシステムが混在しているという課題があった。そこで、部門横断のDX組織を中心に、製造、営業、管理部門におけるシステムの共通化、顧客情報、受注情報などのデータベースの共通化から成る全社共通デジタルプラットフォーム基盤の構築を推進している。「細分化された小集団ごとに採算管理を徹底するアメーバ経営と、共通デジタルプラットフォームに集約されたデータの連携を通して、グループの総合力を最大限発揮していく」(谷本氏)としている。
モノづくりのデジタル化となるスマートファクトリーは、独自開発のデジタルプラットフォームを用いた取り組みを進めている。滋賀野洲工場(滋賀県野洲市)で稼働しているクレイ型蓄電池の生産ラインを基に次世代工場のデジタル標準化を進め、他工場への展開を図っていく考えだ。
売上高3兆円につなげるための持続的な成長策としては、足元で好調な3つの事業セグメントについて個別最適から全体最適へシフトし、みなとみらいリサーチセンターやけいはんなリサーチセンターを活用したオープンイノベーションなどの社内外との連携強化を図る。新規事業創出ではロボティクスやGaN(窒化ガリウム)応用システムなどに取り組むとした。また、脱炭素に向けた長期環境目標については、温室効果ガス排出量を2030年度に2019年度比で46%削減、再生可能エネルギー導入量を2030年度に2013年度比で20倍、2050年度にカーボンニュートラル達成などを挙げた。
今回の発表では、新たな目標として掲げた売上高3兆円の達成時期は明確には示さなかった。谷本氏は「これから2021年度末に向けて詳細な計画に落とし込んでいくので、2022年度に入れば正確な時期をお知らせできるだろう。今のところは、売上高2兆円が2年後、売上高3兆円はそこからさらに5年後に達成できるのではないかと考えている」と述べている。
なお、売上高3兆円におけるセグメント別業績目標は、コアコンポーネントが売上高7500億円、事業利益率17.0%、電子部品が売上高5000億円、事業利益率20.0%、ソリューションが売上高1兆5000億円、事業利益率15.0%となっており、これに新規事業関連で売上高2500億円が加わる見通しだ。
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