6軸産業用ロボットにおいて「折り畳み式」を実現、セイコーエプソンが開発:産業用ロボット
セイコーエプソンは折り畳み式新型アーム構造を採用した省スペースでの設置が可能な6軸の垂直多関節型産業用ロボットを開発。その第1弾製品を2016年5月に全世界で発売する。
セイコーエプソン(以下、エプソン)は2015年11月19日、折りたたみ式新型アーム構造を採用し省スペースでの設置が可能な6軸の垂直多関節型産業用ロボット「Nシリーズ」を開発したと発表した。6軸ロボットでの折り畳み構造は「世界初」(同社調べ)としており、2016年5月から全世界で展開するという。
「Nシリーズ」は、新型アーム構造により、省スペース化を実現できた点が特徴だ。人が作業するのと同等の600mm四方のスペースがあれば設置可能となる。さらにアームを折り畳んだ時に肘が架台などに干渉せず、従来の6軸ロボットよりも周辺との干渉回避動作が減ったため、タクトタイムを短縮させるという効果も生み出しているという。調整、教示時間も削減し立ち上げ時間の短縮も実現する。
また6軸でありながら、ショートカットモーションで多面方向へのアクセスが可能で、繰り返し精度は±20µmを実現。エプソン従来製品のスカラロボット「RSシリーズ」と取り付け互換の仕様になっており、既存生産ラインへの適用も容易になっていることも特徴だ。
製造現場では自動化へのニーズが高まっている一方、従来の自動化装置では、大きな設置スペースを要し、人と同等の作業スペースでの置き換えが困難だった。そのため狭い空間でも設置できる生産性の高いロボットが望まれている。これらの特長から、「Nシリーズ」は、欧米、中華圏での電子機器・電子部品や車載部品の組立および検査作業、医療分野などの用途への提案を計画。ネジ締め、部品挿入、検査装置への製品のセット、部品供給などの領域の自動化に貢献していくという。
Nシリーズの主な仕様は以下の通りだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- いまさら聞けない産業用ロボット入門〔前編〕
日本は「ロボット大国」とも呼ばれていますが、その根幹を支えているのが「産業用ロボット」です。それは世界の産業用ロボット市場で圧倒的に日本企業がシェアを握っているからです。では、この産業用ロボットについてあなたはどれくらい知っていますか? 今やあらゆるモノの製造に欠かせない産業用ロボットの本質と基礎を解説します。 - 「ロボット新戦略」が生産現場にもたらす革新とは?
日本再興戦略の一環として策定された「ロボット新戦略」は、2015年5月15日に新設される「ロボット革命イニシアティブ協議会」により、実現に向けた活動に入ることになる。本稿ではロボット新戦略が生産現場に何をもたらし、どういう方向性になるのかを解説する。 - 人と一緒に働ける人間協調ロボ、ポイントは安全性だけでなく“簡単さ”
人間協調型の産業用ロボットベンチャーであるデンマークのユニバーサルロボット(UNIVERSAL ROBOTS)が日本向けの事業説明会を開催。新たに注目を集める人間協調型ロボットだが、同社は安全性とともに簡易設定が重要であることなどを強調した。 - “一緒に働く”ロボットは安全の緑!? ファナックが人間協調ロボットを出展
ファナックは「第27回日本国際工作機械見本市(JIMTOF 2014)」において、最新のCNCシステム(CNCシリーズ、サーボモータ)、ロボット、ロボットマシン(小型マシニングセンター、超精密ナノ加工機)などを披露した。 - 1人分のスペースで作業できる人共存型の双腕スカラロボットを発売
川崎重工業は、人共存型の双腕スカラロボット「duaro(デュアロ)」を発売した。同軸双腕構成により、人が両腕で行う作業を人1人分のスペースで置き換えることができる。