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「日本版インダストリー4.0」の萌芽か!? 「つながる工場」に向けIVIが始動スマートファクトリー(1/2 ページ)

ドイツのインダストリー4.0や米国のインダストリアルインターネットコンソーシアムなど、ICTを活用した新たなモノづくりが全世界で大きな動きを見せる中、国内でも企業間の垣根を越えて、標準化を進めようという動きが生まれる。「つながる工場」の実現を目指すコンソーシアム「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」の設立だ。

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 ドイツのインダストリー4.0プロジェクトや米国のインダストリアルインターネットコンソーシアム(IIC)など世界的にモノづくりを革新し自国の製造業を強めようとでいう動きが活発化している中、日本でもこれらの動きを組織的に進めようという団体が生まれる。日本機械学会生産システム部門の「つながる工場」分科会が母体となる「Industrial Value Chain Initiative(IVI)」の設立だ。

 現在、全世界で製造工程を高度化させる「次世代モノづくり」を目指す動きが活発化している。ドイツでは連邦政府が主導する国家プロジェクト「インダストリー4.0」が進められており、主要なドイツ企業や研究機関、大学などが参加し、ビジョンの実現に向けて多くのクラスタが設立され研究開発が始まっている(関連記事:ドイツが描く第4次産業革命「インダストリー4.0」とは?【前編】)。一方米国では、IICとして、IoT(モノのインターネット)の産業実装に向けた取り組みが行われており、その一部として製造業向けでの検証などが進められている(関連記事:産業機器向けIoT団体「IIC」、その狙い)。

 これらの取り組みで実現が期待されているのは、IoT(モノのインターネット)の活用などにより自律的な生産活動が行われる「つながる工場(スマートファクトリー)」の実現だ。そして、そのポイントが「つながる」ことを実現する「標準化」活動である。ドイツのインダストリー4.0も米国のIICもこれらの標準化を見据えて、それぞれを結ぶ最適な規格を作成および調整すべく取り組みを進めている。

 しかし、日本はこれらの標準化の動きに出遅れた状況で、日本政府も日系企業もこれらの動きをまとめるには至っていなかった。標準化活動に出遅れれば、日系製造業にとって不利な標準が策定される可能性がある。また、日系企業のモノづくりの強みが標準化が進むことで失われる可能性がある。

 これらの危機感から設立に向けた活動を開始したのがIVIである。

IVIが目指すモノ

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IVI発起人の法政大学デザイン工学部 教授 西岡靖之氏

 IVIは、モノづくりにおける情報インフラなどの研究を進めている法政大学デザイン工学部 教授の西岡靖之氏を発起人として2015年6月の設立を目指すという。

 発起人である西岡氏は「海外の次世代モノづくりプロジェクトは、どちらかといえばドイツはFA領域を中心に考えており、米国はIT領域を中心に考えている。これらを日本のモノづくりに当てはめた場合、必ずしも日本の製造業にとってはメリットにならない場合がある。日本の強みを生かせる日本独自のリファレンスモデル(参考となるモデル)が必要だと考えた」と発足の狙いについて語る。

 日本の製造業にとっての強みは「人」にあるとし「『人がカイゼンする』ということがキーワード。自動化は機械が同じことを繰り返すことで実現できるが、その仕組みそのものを組み替えていくところは人間がやらなければならない。そういう要素を組み込んだモノづくりの新たな姿を作り上げていきたい」と西岡氏は語る。

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IVIの組織体制と運営案(クリックで拡大)※出典:IVI

 同コンソーシアムはまだ設立準備段階で、参加企業も明確にはまだ決まっているとはいえない。ただ、石隈轍氏(アズビル)、井上達男氏(ダイフク)、小田信二氏(横河電機)、川野俊充氏(ベッコフオートメーション)、楠和浩氏(三菱電機)、熊谷博之氏(富士通)、佐久間隆史氏(日産自動車)、篠崎勉氏(NEC)、冨田浩治氏(安川電機)、中野信一氏(川崎重工業)、中村昌弘氏(レクサー・リサーチ)、則竹茂年氏(豊田中央研究所)、蓮野剛氏(中村留精密工業)、羽田雅一氏(東洋ビジネスエンジニアリング)、堀重卓司氏(富士通アドバンストエンジニアリング)、堀水修氏(日立製作所)、光行恵司氏(デンソー)、森健一郎氏(オムロン)、山本吉二氏(ジェイテクト)、吉田寛子氏(パナソニック)、渡邊嘉彦氏(矢崎総業)、渡辺真也氏(IHI)という22社の代表者からは賛同を得ているという。

 大学では、小川紘一氏(東京大学 シニアリサーチャー)、岡田幸彦氏(筑波大学 准教授)、貝原俊也氏(神戸大学 教授)、越塚登氏(東京大学 教授)、中野冠氏(慶應義塾大学 教授)、日比野浩典氏(東京理科大学 准教授)、公的機関では瀬戸屋英雄氏(製造科学技術センター 専務理事)、岡崎英人氏(首都圏産業活性化協会 専務理事)、廣澤孝夫氏(企業活力研究所 理事長)、小原満穂氏(科学技術振興機構 理事)などの賛同者がいる。今後は経済産業省など日本政府にも支援の働きかけを図っていくという。

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