2014年度の国内CAD/CAM/CAE市場規模は3272億円、前年度比7.1%増。輸出型製造業がけん引:CADニュース
矢野経済研究所が発表した国内のCAD/CAM/CAEシステム市場規模に関する調査結果によると、円安により自動車メーカーなどの輸出型製造業の業績が回復したことで、機械系CAD/CAM/CAEの設備投資も増えたという。
矢野経済研究所は2014年11月19日、国内のCAD/CAM/CAEシステム市場規模と今後の市場推移・予測を発表した。調査対象は機械系CAD/CAM/CAEメーカー、EDAメーカー、土木・建築系CADメーカー。2014年度の国内におけるCAD/CAM/CAEシステム市場規模は、3272億円、前年度比で7.1%増との見込みだ。日本国内は消費税増税により、民間最終消費支出および民間住宅投資を中心に大きく冷え込むなど反動減が続くものの、企業部門では高い収益状況を維持していることから、市場は堅調に成長していくと予測する。
機械系CAD/CAM/CAEの市場規模は、2013年度の1969億円に対し、2014年度は2135億円で8.5%増となる見込みだという。円安傾向から自動車メーカーなどの輸出型製造業の業績が回復し、CAD/CAM/CAEの設備投資が増えたことによるという。
EDAの市場規模は、2013年度の766億円に対し、2014年度は801億円で同4.5%増となる見込みだが、機械系と比較すると控えめだ。2013年度の日本国内の電子工業生産は、大きく落ち込み、とりわけ半導体やフラットパネルディスプレイ(FPD)などの電子部品は、需要の低迷、激しい国際競争による価格の下落、PC需要の減少などの影響により厳しい状況にあり、EDA市場へも影響が及んでいるということだ。
土木・建築系CADの市場規模は、2013年度の320億円に対し、2014年度は、336億円で5.2%増となる見込み。東日本大震災からの復興需要、あるいは公共事業投資などが追い風となっているとのことだ。
注目される動向としては、まず大手CADベンダー各社がCAD製品のVDI(デスクトップ仮想化)対応に本腰を入れていることを挙げた。UNIXワークステーションからPCに移行して以来、約15年ぶりとなるプラットフォーム変革が期待されるという。同研究所は、CADをVDI上で利用するメリットとして、「機密データの漏えい防止」「システム維持コストの削減効果」「業務効率化」「ワークスタイル変革の促進」を挙げている。
また機械とEDA分野におけるモデルベース開発が進展しつつあるという。モデルベース開発は従来、主に製品開発の詳細設計フェーズを対象としていたが、昨今では、上流の構想設計領域までおよびつつある。具体的には機能設計段階においてシミュレーションを適用する「1DCAE」ツールの登場を示すとのことだ。
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