「一家に1台の津波シェルター」から「進化する防災無線」まで――中部ライフガードTEC2013:防災・減災・危機管理展(2/3 ページ)
東日本大震災以降、防災・減災への関心が高まっている。南海トラフ巨大地震が懸念される中部地区で、防災・減災をテーマにした展示会が初めて行われた。注目の展示をピックアップして紹介する。
災害時の情報を“確実”に届ける――進化する防災無線システム
東日本大震災では災害時の緊急対応を促す役割として、防災無線の重要性が再認識された。しかし震災後の調査では防災無線が「聞こえなかった」という意見も多く、災害時の情報を“確実”に届けることのできる防災無線システムが急務となっている。
TOAのブースでは、ホーンアレイスピーカーを紹介。角型ホーンスピーカーを連結し、複数のスピーカーから同じ音を同時に出しつつ、それぞれの音が伝わっていく過程で重なり合い力を増すようにコントロールすることで、従来のホーンスピーカーに比べ2〜3倍の距離まで明瞭な音を届けることができるという。
「2つの同じ音が合わさるとエネルギーが4倍になる、という音が持つ特性を利用している。遠くまで音が飛ぶのでスピーカー設置数も少なくて済み、複数のスピーカーからの音が輪唱のように混ざって聞きづらくなってしまう現象も回避できる」(同社)。
ホルムスが展示していたのは、米国ウィレンエンジニアリングの超広域伝達防災無線スピーカーシステム。日本の防災無線用スピーカーで一般的なラッパ型(4方向設置)と異なり、360度全周囲をカバーするラウンド形状のスピーカーを採用している。
「防災無線に用いられている一般的なラッパ型スピーカーでは、音が届く(内容が理解できる)距離は約300mぐらい。指向性も強いので向けられた方向を中心とした伝達範囲となり、カバーすべきエリア内でも音の弱いところが発生する。ウィレンエンジニアリングのスピーカーシステムは360度全周囲をカバーできるスピーカー形状により、全方位へ均一に音を飛ばすことができる。このスピーカーを5段重ねたもので直径約5kmの範囲、10段式では直径約7.4kmの範囲をカバーできる」(ホルムスの担当者)
避難場所を「のろし」で知らせる
もし、出張や観光で来訪している“土地勘のない場所”で津波に遭遇したらどうなるだろうか。地域の防災無線では「高台の○○公民館へ避難してください」と連呼するが、それがどこにあるかがすぐに分かるのは地元の人だけだ。
そんな課題に1つの答えを示したのが、豊川鋼機が展示した避難誘導灯「のろしグナル」だ。津波情報を受信すると、赤い光と警報音に加え発炎筒から煙(のろし)が上がり、目と耳で避難場所を認識させ、素早い避難行動を促すことができるという。
「津波の警戒が必要な地域で、高台の指定避難場所での設置を想定している。警報の音だけではなかなか場所が分かりづらいし、シグナルの光も場所や条件によっては見えない可能性もある。これに“発煙”を加えることで、空を見上げるだけで避難場所が分かるようになる」(豊川鋼機の担当者)
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