このように、PFASの血中濃度が20ng/mLを超えたとしても、それだけで病気になったり体調が悪くなったりするわけではない。しかしながら、メディアが「米国の学術機関が健康リスクが高まると指摘する値を超えていた」と書けば、読者は不安感を高めてしまうだろう。そして「自分の血液中PFAS濃度は大丈夫だろうか?」と不安になり、自分も血液検査を受けてみたいと考える人も出てくるだろう。血液検査によって値が低ければ安心できるというメリットもあるが、高かった場合にどうすればよいかについては判断が難しい。すなわち、血液検査には以下のような限界がある。
このように、実際には検査を受ける個人にとってのメリットはあまりないと考えられる。特に精神的なケアは大きな課題である。不安が高まると「献血で血を抜くことでPFASの血中濃度を下げられる」などという明らかに体への負担が大きく効果も不明なやり方に飛びつく人も出てくる可能性がある。
ただし、あくまで集団としての曝露量を把握してリスクを評価するためには有用である。また、時系列の曝露量の推移を知ることができるのは大きなメリットである。環境省は血中PFAS濃度の長期的なモニタリングを続けており、この結果(図1)によると、一般的な日本人の血液中PFOS濃度は、2008-2010年の平均で14ng/mLであったのが、2024年には3.3ng/mLまで低下している。同様の期間にPFOA濃度も5.6ng/mLから2.2ng/mLまで低下した。PFASは「永遠の化学物質」などと呼ばれることもあるが、使用をやめればこのように血中濃度は低下するものであり、決して永遠に体内に残るわけではない。
今回はPFASの血中濃度の基準値とその根拠について解説し、超過した場合の判断についても解説した。次回はPFASのリスクがさまざまなリスクの中でどの程度の位置にあるかについて解説する。
PFOS/PFOAの発がん性の評価
PFASとは何か? 何が問題なのか?
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日本におけるPFOS/PFOAの評価と管理
欧米や国際機関におけるPFOS/PFOAの評価と管理Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
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