旭化成は光学機器の長寿命化と信頼性の向上に貢献する光学材料「YKT1106」を開発した。精密な「環状構造」により高温下でも高い透過率を維持できる他、低分子シロキサンガスの発生を抑えて半導体の汚染を防げる。
旭化成は、「第5回ネプコンジャパン[秋]-エレクトロニクス開発・実装展-(ネプコンジャパン[秋]2026)」(会期:2026年9月9〜11日、会場:幕張メッセ)内の「第5回電子部品・材料EXPO[秋]」に出展し、光学材料として新規ケイ素系透明樹脂「YKT1106」の開発品を紹介した。
無色透明の光学材料であるYKT1106は、熱硬化グレードと光硬化グレードの2タイプをラインアップしている。熱硬化グレードの硬化物密度(25℃)は1.29g/m3で、硬度(ショアD)は55、5%重量減少温度(air)は>450℃、線膨張係数(25℃)は90〜110ppm/℃、熱伝導率は0.33W/m・K、屈折率は1.41〜1.44となる。光透過率は450nm/0.5mmtと1300nm/0.5mmtともに95%。ダイシェア強度(石英×石英)は>5MPaで、質量損失/TML(200℃品)は0.065%で、再凝集物重量比/CVCM(200℃品)は0.000%、再吸水量比/WVR(200℃品)は0.045%となる。
光硬化グレードの硬化物密度(25℃)は1.31g/m3で、硬度(ショアD)は45、5%重量減少温度(air)は>400℃、線膨張係数(25℃)は90ppm/℃、熱伝導率はNA、屈折率は1.41となる。光透過率は450nm/0.5mmtと1300nm/0.5mmtともに95%。ダイシェア強度(石英×石英)は>5MPaで、質量損失/TML(200℃品)はNAで、再凝集物重量比/CVCM(200℃品)はNA、再吸水量比/WVR(200℃品)はNAとなる。
YKT1106の用途としては、光導波路の形成や光学接着剤を想定している。
光導波路には、耐熱性や高い透過性のためにガラス素材が用いられることが多くある。一方で、ガラスは加工が難しく、細かなパターン形成のために設備投資や加工コストの高さが課題になることがあった。この解決策としてYKT1106は役立つ。
同材料は、ウェット式/ドライ式どちらのエッチングにも対応し、耐熱性と加工性を両立した微細な光回路の形成を実現する。さらに、同一材料で光路をつなぐ接着剤としても使用できる。ガラスやセラミックスとの優れた接着性を発揮する。
同社の説明員は「光電融合の導波路に求められている光電材料は、データセンター内の100℃近い高熱や、レーザー光に耐えられるものだ。当社では光と熱に強い接着剤向けの材料を既に開発していた。これを応用し、業界のニーズに応える製品としてYKT1106を開発した」と振り返る。
また、従来のシリコーン系材料は、低分子シロキサンガスの排出による光学部品や電気回路への汚染が問題となり、半導体用途では敬遠されていた。一方、YKT1106は、独自の分子構造設計と製造プロセスの最適化によって、材料由来の低分子シロキサンガスの発生を抑えられる。これにより、周辺部品の汚染を防止することで長期信頼性に貢献する。原材料に有機フッ素化合物を含まないため、PFAS(有機フッ素化合物)の規制にも対応して、安心して利用できる。
なお、小型化/高出力化が進む光学機器部品では、光源や駆動部からの発熱が増加するため、高温環境下でも劣化しにくい材料が求められる。今回の材料は、基礎骨格として精密に設計された「環状構造」を採用することで、高出力の短波長レーザーの環境下でも優れた透過率を維持する耐熱性を備えている。これにより、光学機器分野の厳しい温度条件下でも安定した性能を維持し、機器の長寿命化や故障リスクの低減、設計自由度の向上に貢献する。
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