ここまでの内容を簡単にまとめると、
何をさせたいのか ⇒ 機械要素を選ぶ ⇒ どんな力がかかるのかを考える ⇒ 必要な強度や寿命などを満たすか確認する ⇒ 周囲の構造につなげる
という流れになります。
そして、機械全体の設計へと視野を広げると、さらに考えるべきことが出てきます。
例えば軸なら、材料は何にするのか、必要な強度はあるのか、どのように加工するのか。ベアリングを取り付ける部分なら、どの程度の寸法精度やはめ合いが必要なのか。ガイドを取り付ける面であれば、平面度や平行度も関係してきます。
このように考えていくと、これまで本連載で取り上げてきたJIS製図、精度設計、材料、強度設計、信頼性設計といった知識が、ここで1つにつながります。学ぶときには別々の項目でも、実際の設計では、それらを行ったり来たりしながら1つの形を決めていくのです。
ここから3D CADの話に移ります。
3D CADというと、スケッチを描き、押し出して立体にし、穴を開ける、といった操作を思い浮かべる人も多いでしょう。もちろん、操作を覚えることは必要です。しかし、3D CADで形を作れることと、機械を設計できることは同じではありません。
例えば、先ほどの直動機構を3D CADでモデリングし、モーター、カップリング、ボールねじ、ベアリング、ガイド、上部プレートを正しく配置したとします。干渉もなければ、一見すると完成したように見えるでしょう。
しかし、上部プレートに荷重が加わったときにガイドは耐えられるのか、ベアリングの寿命は十分なのか、ボールねじやベースの変形量は許容範囲内なのか、といった設計上の判断は、部品を配置しただけではできません。
3D CADは、設計者に代わって答えを出してくれるものではなく、考えたことを形にし、その形を見ながらさらに考えるための道具です。形にしてみることで、部品同士の干渉、組み立て方法、工具スペース、メンテナンス性など、頭の中だけでは気付きにくかった問題も見えてきます。そして、見つかった問題を基に設計を修正し、もう一度確認します。
考える ⇒ 形にする ⇒ 確認する ⇒ また考える
この繰り返しこそが、設計なのです。
次回からは、いよいよ3D CADについて考えていきます。従来の2D図面を中心とした設計と何が違い、3Dで考えることで設計はどう変わるのでしょうか。
まずは、「3D CADとは何か」という基本を押さえながら、機械設計との関係を見ていきます。お楽しみに! (次回へ続く)
土橋美博(どばし よしひろ)
DOBASHI DESIGN LAB 代表/Founder&Principal
半導体組み立て関連装置メーカー、液晶パネル製造関連装置メーカー、製品設計会社を経て独立し、開発/設計/製造DXを現場経験で支援するDOBASHI DESIGN LABを創立。
ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)、ワールドワイドのソリッドワークス・ユーザーグループネットワーク(SWUGN)のリーダーも務める。
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