使用済み電池材料が新品に、ブラックマスからレアメタル抽出にも成功リサイクルニュース

マークテックを含む6社は、リサイクルした電池材料の性能を検証する実証実験を行い、使用済みリチウムイオン電池から回収/再生した再生資源を用いた試作電池で、新規資源由来の試作電池と同等水準の電池性能の確認に成功した。これにより、使用済み電池から取り出した資源を、再び電池材料として活用する「水平リサイクル」の実現に向けて、大きく前進した。

» 2026年08月25日 07時30分 公開
[遠藤和宏MONOist]

 マークテックは2026年8月24日、KDDIやリーテックリニューアブル エナジーソリューションズ(リーテック RES)、エマルションフローテクノロジーズ(EFT)、商船三井ロジスティクス、トランスコスモスと共同で、リサイクルした電池材料の性能を検証する実証実験を行ったと発表した。使用済みリチウムイオン電池から回収/再生した資源を用いた試作電池で、新規資源由来の試作電池と同等水準の性能を確認した。

市販の炭酸リチウムを使用した新規資源由来の電池と同等水準の性能

 近年は、スマートフォンやモバイルバッテリー、IoT(モノのインターネット)機器、電気自動車(EV)などの普及により、リチウムイオン電池の需要は急速に拡大している。リチウムイオン電池には、リチウムやコバルト、ニッケルといったレアメタルが使用されており、安定供給の確保と環境負荷の低減の観点から、資源循環の重要性が高まっている。

 従来は回収したリチウムイオン電池からレアメタルを抽出するには膨大な費用と時間を要し、品質確保の面でも、電池材料として再利用する「水平リサイクル」の実現には課題があった。

 そこで今回の実証は、資源の回収と再生、性能評価、輸送、トレーサビリティーなど、資源循環の社会実装に必要なサプライチェーン全体を見据えた共同体制の下で実施した。各社は、使用済み電池を「廃棄物」ではなく「都市に眠る資源」として捉え、国内外で求められる資源循環型のサプライチェーン構築を目指す。

 同実証では、使用済みリチウムイオン電池から回収したセルを原料に、低環境負荷プラントで高純度ブラックマスを生成した。ブラックマスは、使用済みリチウムイオン電池を破砕/分離して得られる黒色粉末で、レアメタルを含む再利用可能な中間素材だ。

 さらに、EFTが開発した溶媒抽出技術であるエマルションフロー技術を活用して高純度ブラックマスからレアメタルを抽出し、正極材料として再利用することで、試作電池を完成させた。

 その結果、主要な性能評価項目において、再生した試作電池が、新規資源由来の電池と同等水準の性能を示すことを確認した。これにより、再生資源の品質面における実用化可能性を示す成果が得られた。

 加えて、使用済みリチウムイオン電池から回収した資源を、電池材料として再利用できたほか、再生資源を用いた電池で、電極の体積抵抗/界面抵抗、充放電容量の0.1Cから2Cまでのレート特性およびサイクル特性を評価した結果、市販の炭酸リチウムを使用した新規資源由来の電池と同等水準の性能の確認に成功した。

 なお、同実証は、6社がリチウムイオンバッテリーの回収/資源循環の確立とサステナブルリサイクルの実現に向けて取り組む「Re-CIRCLEプロジェクト」の一環だ。

「Re-CIRCLEプロジェクト」のイメージ 「Re-CIRCLEプロジェクト」のイメージ[クリックで拡大] 出所:マークテック

 各社は、今回得られた評価結果を踏まえ、使用済みリチウムイオン電池の回収促進と、再生資源を用いた電池材料のさらなる高品質化および最適化を目指す。さらに、商用電池化の実現と、国内外の制度や規制に対応した輸送/トレーサビリティーの仕組みづくりを進める。

 これにより、リチウムイオン電池の回収から、再び電池材料として活用するまでの一連の流れを確立し、資源の安定確保、環境負荷の低減、循環型社会の実現に貢献する。

Re-CIRCLEプロジェクトにおける各社の主な役割 Re-CIRCLEプロジェクトにおける各社の主な役割[クリックで拡大] 出所:マークテック

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