こうした課題に対するオートデスクの答えが、データとプロセスをクラウド上でつなぐプラットフォーム戦略である。
同社は、「Autodesk Platform Services」(以下、APS)を共通基盤として、「Forma」「Flow」「Fusion」の3つのインダストリークラウドを展開している。このうち製造業向けのFusionでは、製品開発に関わるデータやプロセスの統合を担う。
ベダンサム氏は、Fusionが提供する価値について、「設計と製造を1つの流れとしてつなぐこと、コアとなるエンジニアリング業務を調達、品質、サプライチェーンと結び付けること、そしてオープンAPIを通じて外部ツールと連携することだ」と説明した。
特に重視したのが、BOM(部品表)の統合である。従来は、設計部門が扱う設計BOM(EBOM)、製造部門が扱う製造BOM(MBOM)、サービス部門が扱うサービスBOM(SBOM)が別々に管理され、バージョンの不一致やデータの重複を招いていた。
Fusionでは、これらのBOMを“Single Source of Truth(単一の信頼できる情報源)”として一元化する。設計変更が発生した場合、その情報を製造や品質、調達、財務などの関連部門へリアルタイムに反映できるという。
さらに、OneIPMの買収により、Fusionのワークスペース内にクラウドネイティブなプロジェクト管理やタスク管理を組み込んだ。これにより、3Dモデルを確認しながら、同じ環境でスケジュールやリソースを管理できるようになった。
講演後半では、AIが設計/製造業務にもたらす変化について説明した。
ベダンサム氏は、1980年代の3Dパラメトリック技術、1990年代のデスクトップ3D CADに続き、AI(生成AI)が次の大きなパラダイムシフトになると位置付けた。クラウドがデータやプロセスをつなぐ基盤を築き、その上でAIが生産性を新たな段階へ引き上げるという。
同氏は「Microsoft AIのムスタファ・スレイマン氏が述べたように、対話が新たなインタフェースになろうとしている」と語った。
オートデスクでは、AIモデルを4つの階層で捉えている。第1層は大規模言語モデル(LLM)などによる「言語/視覚推論」、第2層は3D形状を対象とする「空間/物理推論」、第3層は製造業などのルールを理解する「業界特化型推論」、第4層は顧客企業固有のデータを活用する「企業固有推論」である。
その実例として披露したのが、Autodesk Assistantのデモだ。まず、自然言語による指示で、プロジェクトや設計データを共有するクラウド上の共同作業スペース(Hub)を作成し、アクセス権限を設定する様子を紹介。続けて、Autodesk Assistantに「現代的なエアフライヤー(熱風調理器)」と自然言語で指示すると、後から編集可能な3D CADモデルを生成する様子を披露した。
さらに、対話による指示で形状を分割したり、部品を中空化したりする様子も紹介した。AIはその過程でスケッチに拘束条件を設定し、寸法入りの2D図面も作成。加えて、製品を生活空間に配置したレンダリング画像(3D CG)やプレゼンテーション資料を生成する流れも示した。
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