信越化学工業の講演では、同社 シリコーン電子材料技術研究所 第二部開発室 グループマネージャーの松本展明氏が、「3Dプリンタ向けシリコーン材料の開発動向」と題して、ストラタシスとの共同開発で生まれたシリコーン材料の開発経緯と特徴を紹介した。
シリコーンは耐熱性や耐寒性、柔軟性に優れ、医療や工業用途など幅広い分野で使われている。一方で、一般的な射出成形用シリコーンは高粘度で、加熱による硬化が必要なため、そのまま3Dプリンタには適用しにくい。
そこで3Dプリンタでは、低粘度の材料をUV(紫外線)で硬化させる光造形やインクジェット方式が用いられる。ただし、既存のシリコーン材料では、造形性を重視すると臭気や耐久性、柔軟性に課題が出やすく、本来の物性を追求すると造形精度に制約が生じやすい。この「造形性」と「シリコーンらしい物性」の両立が大きなテーマとなっていた。
こうした課題に対し、松本氏はラジカル重合反応を用いた材料設計により、造形性とシリコーンらしい物性の両立を目指した。かつてPolyJet材料で交流のあったストラタシスの研究者がDLP方式プラットフォーム「P3」の部門へ移り、新材料を探していたことから松本氏に声が掛かったという。その後の共同開発を経て生まれたのが、「Originシリーズ」向け材料の「P3 Silicone 25A Gray」である。
P3 Silicone 25A Grayは、従来の“シリコーンライク”材料ではなく、シリコーン材料としての特性を備えながら、光造形で扱いやすい流動性や造形精度を両立することを狙ったものだ。低臭気や低収縮、耐熱性、難燃性なども特徴としており、自動車のガスケットやシール、防振材、医療/ウェアラブル向けソフトパーツなどへの応用が期待されている。
講演では、3Dプリンタ向けシリコーン材料において課題となっていた「造形精度」と「実用品としての物性」の両立に向けた取り組みが紹介された。
また今回、市場の要請に応える形で、白色グレードの「P3 MED Silicone 25A White」も紹介された。白色化するとUVの透過特性が変わるため、同等の造形性を確保することが難しくなるが、材料設計を工夫することで対応したという。医療機器やウェアラブル機器など、皮膚に接触する用途も視野に入れ、シリコーン材料のラインアップを拡充していく考えだ。
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