北米トヨタの講演では、Toyota Motor North America(トヨタ・モーター・ノース・アメリカ/北米トヨタ) シニアエンジニア アディティブマニュファクチャリング担当のWilliam Dallas Martin(ウィリアム・ダラス・マーティン)氏が、「アディティブ製造を活用した北米トヨタの取り組み」と題し、同社の生産現場におけるAMの活用状況を紹介した。
マーティン氏が所属するProduction Engineering(PE)は、車両を生産するための組立ラインや設備、ロボット、工場プロセスを担う生産技術部門である。研究開発と製造の橋渡し役として、新型車の量産準備やライン改修、生産性改善を支えている。
米ケンタッキー州ジョージタウンには、PEの中核施設であるProduction Engineering and Manufacturing Center(PEMC)が置かれている。PEMCは、北米14拠点に向けた生産プロセス、設備、治工具の開発を担う。その中でAM活用を推進しているのがAdd Labである。
Add Labは、トヨタ社内でアディティブ技術を前進させることをミッションとしており、28台の3Dプリンタ、21種類の独自能力、8種類のプリンティング技術、80種類の材料技術を擁するという。
設備の約90%をストラタシス製が占めており、その理由としてマーティン氏は「サービスと信頼性」を挙げた。
「世の中に完璧なものは存在しない。重要なのは、問題が起きたときにどう対応するかである。新しいプリンタの導入時には多くの課題に直面したが、ストラタシスとトヨタが一体となって解決に取り組んだ。30年この分野に携わってきたが、ここまで支援してくれる企業は多くない」(マーティン氏)
北米トヨタにおけるAMの用途は、新型車開発の初期段階における検証に加え、治具や工具、作業者の負担軽減につながるライン向けの治工具などに広がっている。車両開発のスケジュールが36カ月から24カ月へ短縮されるなど、開発や生産準備の迅速化が求められる中、現場のアイデアを短期間で形にできる点がAM活用の背景にある。
例えば、切削加工では作りにくい溶接ライン向け部品や、シーラー塗布の状態を確認するための半透明部品など、工程検証や作業改善に直結する用途で活用しているという。
社内でのAM活用を広げるポイントとして、マーティン氏が強調したのは、外向きのアプローチの重要性である。以前のラボは、他部門からの依頼を待って安く早く部品を作る「試作部品の供給者」に近い存在だった。現在は製造現場を「顧客」と捉え、自ら現場に出向いて課題を見つけ、AMで解決できる方法を探る形へと変化しているという。
マーティン氏は「AMを会社全体の取り組みとして広げるには、ユースケースを増やし、それが有効に機能することを示す必要がある。社内のメンバーからフィードバックを受け取り、改善につなげることも重要だ。そして、最も大切なのはイノベーションの創出である。ぜひ恐れずに挑戦してほしい」と呼び掛けた。
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