物流分野ではChina Post(中国郵政)が、自社の物流センターにROBOTERAのヒューマノイドロボットを導入した。センター内の自動化設備と連携し、荷物の把持から向きの調整、指定コンテナへの投入までの仕訳工程を担う。異なるパッケージの素材や規格、サイズ、色にも柔軟に対応でき、作業効率は人間の約85%に達する。1時間当たりの最大処理件数は1200件に上り、24時間の安定稼働が可能だ。これは実証実験ではなく、すでに実運用フェーズにある。同社は中国最大規模のECショッピングイベント「ダブル11(独身の日)」など膨大なピーク需要にも対応しうる戦力として、今後も調整を進める構えだ。
中国がこれほどの急成長を遂げている背景には、データの蓄積とモデルの高性能化、強固なサプライチェーンを生かした製造、そして実社会へのアジャイルな実装という一連のサイクルを高速で回転させている点がある。AI(人工知能)を中核に据え、実データとモデルを密接に連携させることで、継続的な進化を生み出しているのだ。
また、AIやAIロボットに対する社会的な受容度の高さも、普及を後押ししている。AIに対する信頼度は中国が91%と突出しており、米国の47%や日本の39%を大きく上回る。単純作業や専門職分野におけるAIロボットの利用意向についても、中国と比べて日本は低い水準にとどまっているのが現状である。
では、日本はどのように独自の生存戦略を確立するべきか。李氏は、「データの蓄積と技術高度化のサイクルを加速させることが重要だ」と指摘した。具体的には、国内にしか存在しない現場の「暗黙知」や、産業用ロボットの開発/運用ノウハウといった価値あるデータを収集し、モデル学習に適した形へ加工する取り組みを急ぐことである。日本の製造業が長年蓄積してきた細やかな調整ノウハウは、他国が容易に模倣できない日本独自の学習資源になるという。
また、社会的な受容度を高め、新たな技術を前向きに受け入れる土壌を育みながら、応用シーンを拡大していくことも急務である。技術が完全に成熟してから用途を模索するのではなく、需要創出と社会実装をスタートラインに据えるアプローチが求められる。その際、海外勢が主導するオープンソースのエコシステムをうまく活用し、自国の開発スピードを効率的に引き上げていく視点も重要だ。
日本企業の中でも、自社の強みを生かして海外の先端プラットフォームと連携する動きが出始めている。三菱電機は、中国のヒューマノイド企業であるLumosと連携し、日本の高度な制御技術やFAの知見を、Lumosのトレーニング用データなどと組み合わせる取り組みを進めている。これにより、製造現場における無人化の実現を加速させ、中国市場での競争力強化を図る狙いだ。
李氏は、「将来的には、人型ロボットが社会インフラの一部となり、産業構造を変えて持続的な価値を生み出す時代が到来する」と予測する。特定のタスクを代替するだけの存在から、総合的な価値提供を担うようになる。ビジネスモデルも機体単体の販売からRaaSやソリューションの提供へと移行し、あらゆる産業の現場で高度な自動化が進んでいく。
日本政府もAI実装に向けた体制づくりを急ぐ中、ヒューマノイドロボットが社会インフラとして定着する未来は目前に迫っている。次世代産業を巡る競争の中で、日本の真価が問われている。
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