JX金属は、光通信に不可欠なインジウムリン(InP)基板の生産能力を大幅に引き上げるため、最大1200億円の設備投資を発表した。
JX金属は2026年6月16日、光通信分野向けの結晶材料であるインジウムリン(InP)基板の生産能力をさらに強化するため、今後4カ年にわたり最大1200億円の設備投資を実施する方針を決定したと発表した。
InPは、電気信号と光信号を相互に変換できる特性を持つことから、光通信分野において中核的な役割を担う光トランシーバーに使用されており、AI(人工知能)の高度化に伴い増加する大容量データ通信を支えている。
AIの発展は速く、学習したデータを基に新たな文章、画像、プログラムコードを生成する「生成AI」から、利用者の意図を理解し、自ら情報を収集/分析した上で、計画の立案や実行まで担う「エージェント型AI」へと展開の幅を広げている。
さらに、AIをロボットやモビリティに実装し、現実空間で自律的に行動する「フィジカルAI」の社会実装に向けた取り組みが進められている。これに伴い、データ学習およびリアルタイム推論に必要となるデータ通信量は増大しており、高速かつ低遅延な通信インフラを備えたハイパースケールデータセンターの需要が一層拡大している。
加えて、AIの処理能力向上に伴い、光通信技術の適用範囲は、従来のサーバ間やラック間を結ぶ外部接続にとどまらず、サーバ内部の高速データ伝送にも広がりつつあり、光通信機器の需要は従来の想定を超えるペースで拡大している。
同社は、この需要拡大に対応すべく、段階的にInP基板の生産能力増強を進めているが、各顧客との対話を重ねる中で、各社の設備増強に伴う大幅な増産要請を継続して受けており、同製品の需要はこれまでの見立てを大きく上回る水準で一層拡大していくとの認識を強めている。
こうした状況を受けて、同社は、InP基板の安定供給を通じて顧客要請に応えるとともに、成長する光通信インフラ市場を支えるべく、同製品として過去最大となる大規模な投資を行い、事業のさらなる拡大を図る方針を固めた。
具体的には、同製品の生産を行っている磯原工場(茨城県北茨城市)に加え、新たにひたちなか地区(茨城県ひたちなか市)においても生産体制の強化を進め、これまで公表した投資と合わせて生産能力を2025年度比で7〜10倍に引き上げる予定だ。
また、安定供給体制の構築に向けて、顧客に対して価格改定の要請を進めていく。同社は今後、同製品を主力製品である半導体用スパッタリングターゲットに並ぶ収益の柱として成長させていく方針を掲げている。
なお、同設備への投資に当たっては、先般実施した転換社債型新株予約権付社債により調達した資金から、自己株式の公開買付けの買付資金に充当される金額を差し引いた額を充当する。
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