シャープは将来的に訪れるといわれている、地球上のどこにいてもAIが活用できる状況「AI anywhere」を支える通信インフラを確立するために、衛星通信事業にも注力する。同社は世界最小クラスの衛星通信アンテナを強みにして、2027年度中の事業化を目指して取り組みを進めている。「衛星通信事業との協業や船舶/建機/建設といった特定産業向けに事業を展開し、将来的には各パートナー企業と連携しながらモビリティやドローンといった領域に拡大する」(河村氏)。
また、シャープが持つ技術力を大いに生かすことができる領域としてインダストリーDX事業にも注力する。同社が培ってきた映像技術や音声技術、AIを活用した制御シミュレーション技術などを活用し、生活/交通インフラや建設業界といったさまざまな領域で課題解決に貢献する。既にパートナー企業と実証実験を幾つか実施しており、この取り組みをベースにして事業を拡大する方針だ。
他にも、低軌道衛星の増加に伴い市場の拡大が見込まれる宇宙開発事業向けには、宇宙用太陽電池で事業を展開する。シャープはJAXA(宇宙航空研究開発機構)から認定を受けているメーカーであるという強みや、化合物/シリコン積層型電池モジュールで世界最高レベルの変換効率33.66%を達成するという技術力を有している。これらの強みを生かして、2027年度の新規大型案件獲得に向けて事業を推進する。
暮らすの領域として拡大しようとしているモビリティ事業については、鴻海が持つケイパビリティを活用して、独自EV(電気自動車)「LDK+」で市場参入を計画している。LDK+は「止まっている時間」に焦点を当て、家電関連技術を活用してリビングルームのような車室内空間を構築している。
LDK+について河村氏は、「現在は具体的な事業計画を精査している段階である。われわれはまず日本市場での参入を考えており、市況を見極めながら差別化を図るためにどの程度投資すればいいのかを慎重に議論している。LDK+というコンセプト自体は有望だと考えており、根本的な事業見直しはしていない」とコメントした。
シャープは新規事業全体の市場規模について、2030年頃には5兆〜6兆円になると予測を立てている。河村氏は「個々の事業規模は現時点では明確になっていないが、新規事業全体で4〜5%の市場シェア獲得を目指す」と述べた。
シャープ河村新社長「脱ハードウェアは不要」、鴻海製AIサーバとEVで描く再成長
遠隔地から映像を送りAI解析する「長距離モニタリング技術」開発、牧場などで活用
「ダイナブック」がシャープを支える日が来るとは
シャープはPC特需で損益回復、次の柱としてAIサーバやEVの事業化を急ぐ
元日産の関氏が鴻海で考える、EVの苦境の乗り越え方
シャープがEV参入へ、フォックスコンのEV基盤を活用しフォロフライとの協力で実現Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク