トヨタは中東情勢影響で6700億円の減益見通し、稼ぐ力の強化やロボティクスで対抗製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

» 2026年05月11日 06時30分 公開
[朴尚洙MONOist]

「もっといいクルマづくり」と「モビリティカンパニーへの変革」

トヨタ自動車の宮崎洋一氏 トヨタ自動車の宮崎洋一氏

 トヨタ自動車 取締役 副社長 CFOの宮崎洋一氏は「3期連続での減益見通しとなることは、CFOとして重く受け止めている。これは、急激な事業環境変化の中で、われわれの対応範囲や手段が、短期でできることにとどまってしまっており、中長期目線で進めるべき事業構造の変革や将来の種まきのスピードが遅いことがその要因だと考えている」と語る。

 実際に2024年度の営業利益と2026年度の営業利益見通しを比較すると、2025年度から発生した関税影響の1兆3800億円、2026年度の業績に織り込んでいる中東情勢影響の6700億円を除けば5兆500億円の「稼ぐ力」を維持できているとする。トヨタ自動車としては、関税や中東情勢のような事業環境の大きな変化に伴う影響を打破し、持続的な成長軌道に戻すことが急務と捉えている。

 そのための事業構造改革としては「もっといいクルマづくり」と「モビリティカンパニーへの変革」の2つ挙げられる。「もっといいクルマづくり」は、新たにフラグシップブランドとして設定したセンチュリーを加えた5ブランドによるモデルラインアップの面での圧倒的な広がりと「稼ぐ力の引き上げ」の掛け算で進めていく。

事業構造改革への取り組み 事業構造改革への取り組み[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 「稼ぐ力の引き上げ」の基盤となるのが、生産能力の最大活用である。仕様や部品の種類を適正化する「AREA35」の活動効果を取り込みながら、既存の工場スペースと能力をフル活用した上で、既に発表している新工場などの新たな能力増強を実需を見ながら進めていく。この生産能力の上に、「世代進化と併せたHEV電池/ユニットの能力増強」「グローバルでの生産車種再編」「現調化の一層の推進」「部品シナリオ再構築など、源流まで踏み込んだ原価低減」という4本柱の取り組みを並行して進め、モデル切替のタイミングで各モデルの台当たり限界利益の最大化を図るという。

「稼ぐ力の引き上げ」の概要 「稼ぐ力の引き上げ」の概要[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 「モビリティカンパニーへの変革」では、補給部品や金融などのバリューチェーン収益が基盤となる。バリューチェーン収益はここ数年で、年間約1500億円のペースで上積みしており、2025年度時点では2兆1000億円にまで拡大している。今後も、保有台数の増加と、取り組み地域/国の拡大を通じて、この成長ペースを維持する方針である。その上で、陸海空の新モビリティと、コネクテッドやSDV技術を活用したロボティクスを新たな取り組みに加えるとしている。

「モビリティカンパニーへの変革」の概要 「モビリティカンパニーへの変革」の概要[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 中でもロボティクスについては、工場での取り組みが中核となる。「トヨタには1000万台の生産現場、ロボットをパートナーとして成長させることができる技能員、そして現場に根ざしたTPS(トヨタ生産方式)がグローバルにある。これらを基盤に、技能の伝承を通じてロボットを進化させ、さらに、ロボットがその技能を人に還元することで、パートナーとしてともに成長する未来を見据え、工場の景色を変えていく。モノづくりと知能化の融合こそが、ロボット開発におけるトヨタの強みであり、日本のモノづくり改革の一助になり得るものと考えている」(宮崎氏)という。将来的には、工場以外への展開も想定している。

ロボティクス活用の取り組み ロボティクス活用の取り組み[クリックで拡大] 出所:トヨタ自動車

 これらの取り組みにより、中長期目線での事業構造改革を進め、損益分岐台数の改善と同時に、ROE(自己資本利益率)20%に向けた歩みにしていくとしている。なお、損益分岐台数やROE20%の達成時期などは明らかにしていない。

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