富士ソフトはこれらの強みの一方で、コロナ禍以前から大きく激変しつつある市場環境の変化に対応できておらず、ビジネスモデルとしてはスクラッチ/人月型、プロジェクト(フロー)型が中心であり、個別案件の実装力は評価されているものの、9つある事業本部の縦割り構造が強く、顧客からは協力会社として役割を求められるという状況にあった。
今回の富士ソフト Gen.2では、ビジネスモデルとしてオファリング型と継続(ストック)型を強化するとともに、個別案件の実装で積み重ねてきた組織ナレッジのアセット化を目指す。組織は、CxO×BU(ビジネスユニット)のクロスマトリクスによって事業本部や営業の間で協働と協創を進みやすくし、顧客から経営変革の伴走パートナーと認識してもらえるようにしていくという。室岡氏は「AI×IT×OTを統合し、止められない社会/産業システムをエンドツーエンドで担える数少ないSIerだ。これは生成AI時代にこそ価値が上がる独自のポジションであり、富士ソフトの勝ち筋だ」と強調する。
このような変革を進めるための基盤として室岡氏が重視したのが、経営と現場のコミュニケーションと、企業理念の再構築と浸透である。「否定から入る変化ではなく、進化から始まる改革を進めることを理解してもらうために、従業員と継続的に対話を重ねてきた」(同氏)という。また、創業から掲げてきた“富士ソフトの精神”を核に、パーパス、ミッション、ビジョン、行動指針から成る企業理念を再定義した。
変革と成長を実行する組織体制として、9つの事業本部それぞれで収益責任を担うことで固定化していた縦割り構造を変えるために、9つの事業本部を3つのBUの傘下に置くとともに、BU横断の取り組みによって専門領域の変革とガバナンスを可能にするCxO制を導入した。
3つのBUは、組込/制御BU、ソリューションBU、社会インフラBUで、富士ソフト 取締役 専務執行役員 ソリューションBU長の大迫館行氏が務めるCo-COO Business Operationsが統括することで、BU横断でのシナジー最大化なに取り組む。
さらに、BUによる事業推進とCxOによる横断機能を掛け合わせる、クロスマトリクス経営を推進していく。
稼ぎ頭となるBUを縦とすると、CxOによる横断機能でシナジーを鍛え上げ、CEOをはじめとするトップマネジメントで縦横の連携を回していくイメージになる。このクロスマトリクス経営の推進役となるのが、富士ソフト 常務執行役員 CFOの小野健二氏が担うCo-COO Corporate Operationsである。
そして、長期的な企業価値をもたらす成長戦略としては、室岡氏が示した独自ポジションをしっかりと確立した上での勝ち筋の構築が重要になる。「AIでは完結できない領域までの深い浸透、フィジカルAI×IT/OTの高い成長性、オファリング化による技術資産のレバレッジと再現性を目指す。詳細は各注力領域などで公開していきたい」(同氏)。
富士ソフト Gen.2の変革ロードマップとしては、2026年は戦略と組織の基盤づくりを行って、2027年に成長エンジンを確立してから、2028年からはビジョンの実現に向かい、営業利500億円以上の達成を目指す。室岡氏は「年間の売上高成長率は業界平均を超える一桁%台後半を目指しつつ、2028年以降の早い段階で営業利益も2025年の240億円から倍増以上となる500億円に増やす」と述べている。
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