ArasはAIを無計画に市場投入するのではなく、「Innovator Edge AI」「Agentic Intelligence」「Agent Builder」の3つのレイヤーに分けて展開していく方針だ。
同社が本格的に展開しようとしているInnovator Edge AIは、データの出入りに必要なセキュリティと通信を提供する。Agentic Intelligenceは、要件管理やMBOMレポート、セマンティック検索など、特定のタスクを実行する個別のAIエージェント群だ。Agent Builderは、ビジネスユーザーがコーディングなしで、テンプレートから独自のエージェントを設定/作成できるツールである。
Arasが目指すAdaptive PLMの中核を成すのが「依存関係グラフ」だ。これは、デジタルスレッド上のデータ間のつながりを越えて、「誰が何を駆動しているのか」という明示的な依存関係を示す。カプツァン氏は「例えば、設計変更が、製造プロセスの後半(組み立てラインなど)や他部門で引き起こす予期せぬトラブルは、高い“隠れコスト”を生み出してしまう」と強調する。
依存関係グラフはこの問題を解決する。システム上で「もしも」のシナリオを実行し、設計変更の潜在的なリスクを予測可能だ。同グラフを活用することで、Adaptive PLMは“単なるシステム”からデータに基づく“予測システム”へと進化できる。
基調講演では依存関係グラフが実際に実行可能なことを証明するために技術デモンストレーションを披露した。
依存関係を示すマップを作成するデモンストレーションでは、Aras InnovatorやCADフォルダ、ERPシステムなどのデータから意味的な関係を見つけ出し、依存関係を確認できるマップを自動で生成した。マップ上の「参照」と書かれた点線をクリックすると、AIがどの情報を基にリンクを表示しているのかを確認できる。
また、一部のリンクには情報の信頼性を示すパーセンテージが表示され、AIが確信を持てずに正確に判断できない情報については、人間が承認や拒否を行う「ヒューマンインザループ」機能が搭載されている。
設計変更の提案やシミュレーションを実行するデモンストレーションでは、依存関係マップ全体を通じて自動でシミュレーションを実行し、影響を受ける7つの重要アイテムやコスト、リードタイムの変化をレポートとして可視化した。
設計変更の評価とタスク生成を実行するデモンストレーションでは、ユーザーが意思決定に迷った際にAIにアドバイスを求めると、承認に向けた根拠やリスク軽減のためのエンジニアリング提案を実行した。提案された内容に対してユーザーが条件付きで承認すると、システムは即座に変更を確定せずに内容に関連する担当者全員に対して「何をすべきか」という明確な推奨事項を含んだタスクリストを自動で生成した。
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