日本ゼオンは、電気自動車(EV)やAI(人工知能)サーバ向けで需要が急増するリチウムイオン電池の性能を向上させる材料「単層カーボンナノチューブ(SWCNT)」の生産能力を数十倍に拡大する。
日本ゼオンは2026年4月24日、徳山工場(山口県周南市)において生産する単層カーボンナノチューブ(以下、SWCNT)の増産を決定したと発表した。
今回の増産により生産能力は現行比数十倍に拡大する見込みで、主にリチウムイオン電池向けに需要が拡大するSWCNT市場における同社のプレゼンス向上を図るとともに、安定供給体制の強化を図る。増産に向けた工事は、2026年秋に着工し、2028年中の本格稼働開始を目指す。
なお、本件は経済産業省から「蓄電池に係る供給確保計画」として認定を受けており、助成金が交付される予定だ。認定内容によれば、年間生産能力は蓄電池128GWh相当で、総投資額は約147億円。最大助成額は約51億円。
カーボンナノチューブは、高い導電性や軽量性といった特長を有し、さまざまな用途への利用が期待されている日本発の材料だ。中でもSWCNTは、電池のエネルギー密度とサイクル寿命を向上させる材料として需要が高まっており、電気自動車(EV)、ドローン、電動垂直離着陸機(eVTOL)などの民生用途での活用が期待されている。
さらに、AI(人工知能)サーバ向けのバッテリーバックアップユニット(BBU)、再生可能エネルギーを対象とした電力貯蔵システム(ESS)、自動化ロボティクスなどの産業分野で需要が急増するリチウムイオン電池への活用も注目されつつある。
そこで日本ゼオンは、2015年に世界で初めて(同社調べ)独自のスーパーグロース技術を用いたSWCNTの量産に成功し、「高純度」「高比表面積」「高アスペクト比」を特長とするSWCNTを「ZEONANO」のブランドで製造/販売を開始した。
今回、リチウムイオン電池を中心とする需要に対応すべく、日本ゼオンは現在量産を行っている徳山工場敷地内に、新たに建屋を建設し、生産ラインを整備する予定だ。なお、これまでの製法をベースに、進化させた独自製法の開発にも成功した。増設ラインでは、新製法を採用することで、さらなる生産効率化、品質向上を図る。
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