新たなミッションとビジョンで示した、新たな価値を生み出す新生パナソニックの強みとしては、修理経験者の推奨度(NPS)調査1位などの結果で示されている「信頼/品質/ブランド」、約100年の事業展開で蓄積してきた「くらしの知見/技術」、国内に展開する約1万5000点の地域電器店に代表される「多くの顧客接点」、グローバル従業員数約4万1000人に基づく「多様な人材」の4つを挙げた。特に地域電器店については「顧客とのリアルな接点としてその重要性を再定義していく。サービス力をさらに磨く、より素早く商品を届けるなどの形で強化していく。地域電器店向けに最適な商品を作ることも検討したい」(豊嶋氏)という。
これらの強みを複数組み合わせることで、複合的要素によりパナソニック独自の体験価値を作り出す。パナソニックグループは、より高付加価値のソリューション事業に注力する方針を打ち出しているが、新生パナソニックも商品のみの顧客体験から脱却し、パナソニックブランドによる全体の統一した世界観の下で、商品だけでなくサービスや顧客接点を組み合わせた新たな顧客体験の提供によって新たな価値創造を追求する。
ただし、国内家電市場は現状横ばい状態であり、国内だけに注力していては大きな成長を見込めない。豊嶋氏は「国内で家電業界のリーディングポジションを確立して足場を固め、中国や東南アジアを中心に海外で事業成長を加速するの中長期の成長戦略だ。中国では外資ブランドNo.1を実現するとともに、さまざまな取引先が集まる中国市場の特性を生かしたグローバル標準コストの推進に貢献できるだろう。東南アジアは商品と販売基盤の両輪を強化する」と強調する。
パナソニックグループの家電事業は収益面において大きな課題があり、2025年度までの構造改革でも、テレビや調理機器が課題事業に挙げられるなどしてきた。これら2事業は2025年11月には課題事業からの脱却にめどを付けたものの、今後の成長戦略において経営体質の強靭化は必須だ。
そのための施策となるのが、先述したグローバル標準コストの推進である。グローバル標準コストでは中国がけん引役だが、その調達の仕組みを東南アジアなどにも拡大していく。対象品目も、電気系のキーデバイスだけでなく、原材料、機構/組み立て、電子/半導体EMSなどに拡大する。また、品質はパナソニックの強みではあるものの、顧客体験に貢献しない規格/基準を見直す。ITシステムも新生パナソニックとして置き換えを進め、過去のしがらみともいえるレガシーを刷新する。
豊嶋氏は「2025年度までで大きな構造改革は終わり新生パナソニックの成長に向けた体制は整った。2026〜2028年度の3年間は、成長への基盤づくりに注力し、2029年度以降のグローバル再成長のフェーズにつなげていく」と述べている。
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