リーダーシップの壁【後編】 日本と海外の3つのズレにどう対応するべきか海外駐在員になったら知ってほしい「3つの壁」(2)(1/2 ページ)

多くの製造業が海外での成長を目指す中、海外駐在員の役割は重要になっていますが、思った力を発揮できない場合も多く見られます。本連載では、HR視点でどのような考え方が必要で、どのような協力体制を築くべきかをお伝えします。第2回となる今回は第1回で紹介した「リーダーシップの壁」における3つのズレにどう対応すべきかについてお伝えします。

» 2026年04月14日 08時00分 公開

 本連載は、HR(Human Resources)の視点で、海外駐在員がぶつかる「リーダーシップの壁」「連携の壁」「現地化の壁」という3つについて、それぞれの内容と対策を解説しています。

 前回は、日本で「良いリーダー」と評価されてきたマネジメントが、海外拠点ではなぜ通用しなくなるのかを整理しました。その背景には、「沈黙」「あうんの呼吸」「助け合い」といった日本では当たり前とされる前提が、異なる文化ではまったく別の意味で受け取られてしまうという、3つの典型的なズレがありました。

 では、こうしたズレを前に、リーダーはどのように行動を変えればよいのでしょうか。今回は、このズレに対する具体的な対応策について解説していきます。

現地に合わせるのではなく「Our Style(チームの規格)」を定める

 まず、「リーダーシップの壁」への対応策において、前提としてお伝えしたいのが、必ずしも現地のやり方に全面的に合わせ、日本人としての強みを捨てて「郷に入っては郷に従え」を実践することが正解とは限らないということです。特に、部下が複数人いる場合、相手ごとに文化やスタイルを切り替えていては、マネジメントの複雑性が増し、リーダー自身が疲弊してしまいます。

 そこで提案したいのが、リーダーシップの標準化です。つまり、あなたの個人スタイルでも部下それぞれのスタイルでもない、そのチーム独自の共通言語や共通ルールである「Our Style(チームの軸)」を設計し、浸透させるという考え方です。

 「Our Style」を作る際は、お互いのスタイルを足して2で割るような「妥協点」を探す必要はありません。重要なのは「組織の目的や戦略を実現するために、どのスタイルが最も機能するのか」という機能的な視点でルールを設計することです。

 前回取り上げた3つのズレに「Our Style」を適用する場合、次のような解決策が見えてきます。

1. 会議スタイルのズレへの対策:会議の「型」を宣言する

 前回は、3つのズレの1つとして会議スタイルの違いがあり、日本型は「ゴルフ型」、海外型は「ラグビー型」であることを説明しました。

 会議のゴルフ型とラグビー型には、それぞれの良さがあります。だからこそ、リーダーは会議の冒頭で「このアジェンダは、全員の意見をぶつけ合いたいので『ラグビー型』でいこう」や「次の報告パートは、順序よく進めたいので『ゴルフ型』でいこう」など、その場の「Our Style」を宣言するのです。

 これを「ハイブリッドミーティング」と呼びます。例えば「ブレインストーミングの時間は、役職に関係なく遮って発言してOK(ラグビー型)」や「最終決定の確認は、一人ずつ順番に意見を聞く(ゴルフ型)」といった形でアジェンダに明記します。

 こうすることで、日本人も現地スタッフも迷わずに、その場の「ゲームルール」に従って能力を発揮できます。もちろん、ゴルフ型とラグビー型それぞれの特徴については、事前に共有しておくことが欠かせません。

photo 会議スタイルのズレ。ゴルフ型とラグビー型の違い[クリックで拡大] 出所:リンクアンドモチベーション
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