世界初、ホンダ発スタートアップPathAheadが砂漠の砂を活用した道路素材を開発材料技術

ホンダ発のスタートアップであるPathAheadは、同社の設立の狙いや事業取り組みについて説明した。同社は世界で初めてとなる、砂漠の砂を活用した高耐久な道路素材「Rising Sand」を開発。アフリカを中心に今後の事業化に向けた取り組みを進めていく。

» 2026年04月09日 06時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 ホンダ発のスタートアップであるPathAheadは2026年3月31日、東京都内で会見を開き、同社の設立の狙いや事業取り組みについて説明した。同社は世界で初めてとなる(同社調べ)砂漠の砂を活用した高耐久な道路素材を開発し、アフリカを中心に今後の事業化に向けた取り組みを進めていく。

PathAheadは「砂漠の砂を活用した人工骨材」でアフリカの道路舗装を支援

 PathAheadはホンダの新規事業創出プログラム「IGNITION(イグニッション)」から生まれたスタートアップである。PathAheadは「高耐久な道路素材を提供し、アフリカに持続可能な道路網を築くことで、人と社会の無限の可能性を解き放つ」をミッションとして掲げている。

 近年、アフリカの国々では急速な人口増加に伴い経済の発展が進んでいる。一方で、道路などのインフラ整備は十分に進んでおらず、アフリカのさらなる経済成長を阻んでいる。

PathAheadの伊賀将之氏

 現在のアフリカの道路舗装率は約20%と低水準だ。加えて、舗装済の道路も劣化が進んでおり、車両が進めないことによる物流コスト上昇などの経済損失につながっている。また、道路舗装に用いられる骨材は、砂や砕石などの比較的安価な天然資源を原材料としている。山地や地層によって強度にばらつきが生じやすいため、舗装材として必要な品質を安定的に確保しにくいという課題が存在している。

 PathAhead 代表取締役CEOの伊賀将之氏は「アフリカでは道路が凸凹しており、車両1台が進むのに何時間も掛かってしまう。結果的に激しい渋滞を引き起こし、さまざまな問題が発生している。2023年にガーナで立ち上げたばかりのホンダの工場では、雨が降るとエントランスの周りが泥だらけになってしまい、部品の荷運びがまともにできないという状況である」と語る。

ホンダガーナ工場前の道路(降雨時)[クリックして拡大] 出所:PathAhead

 このような背景から、PathAheadはアフリカで調達可能な資源として砂漠の砂に注目し、高い経済性と耐久性を兼ね備えた人工骨材「Rising Sand(ライジングサンド)」を開発した。同材料は道路舗装やコンクリート、路盤材などさまざまな用途に活用できる。

Rising Sandの外観[クリックして拡大] 出所:ホンダ

 Rising Sandは、約100μmという球状で微細な砂漠の砂を、特許出願中の独自造粒技術を活用して数10mm単位の粒径へと造粒している。粒度や形状のばらつきを抑えて骨材の強度を高めることにより、20年以上の耐久年数を実現した。これにより、道路修繕の実施頻度が低減し、ライフサイクルコストを従来と比較して約60%に抑えることができる。

Rising Sandの造粒イメージ[クリックして拡大] 出所:PathAhead

 伊賀氏は「ダンプトラック級の荷重をかけるホイールトラッキング試験による耐久試験の結果では、日本の良質な天然骨材と比較しても2.5倍以上の耐久値が出ている」と強調する。PathAheadは、アフリカ現地で調達できる砂漠の砂といった資源を原材料にすることで、天然骨材と同等の価格での提供を目指す。

 PathAheadはRising Sandの事業化に向けて、2027年からケニアを皮切りにタンザニア、南アフリカの順番で、約3年間にわたり実証実験を進めていく。現地の気候や交通条件を踏まえて、施工性や耐久性、品質の再現性などを検証し、量産に向けた仕様の確立を目指す。

 実証で得られた結果を参考にして、2028年にケニアで設立予定の自社工場でRising Sandの量産を開始し、現地調達/現地生産による安定供給体制の構築に取り組んでいく。伊賀氏は「国づくり/街づくりの1番起点はやはり“道”にある。道ができてから水やインフラ整い、そして病院や学校、工場が建ち、最後に人々の生活が向上していく。この基盤となるのがRising Sandであるとわれわれは考えている」と述べている。

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