1クリック数秒で会社が窮地? もう一つの現場“間接業務”に生かすIE思考とは“脱どんぶり勘定”の現場改善術(3)(4/4 ページ)

» 2026年03月19日 07時00分 公開
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まとめ:製造現場のDNAを事務所へ。ストップウォッチと好奇心を持とう

 全3回にわたり、「DXの成否は『IE(インダストリアル・エンジニアリング)』で決まる」というテーマでお話ししてまいりました。

 世の中には、最新のAI技術や、驚くような自動化設備のニュースがあふれています。それらを目にするたび、「うちの会社は遅れているのではないか」「もっと大規模な投資をしなければ生き残れないのではないか」と焦りを感じる経営者や現場責任者の方も多いことでしょう。

 本シリーズを通じてお伝えしたかったのは、「皆さんの現場には、まだまだ眠っている巨大なポテンシャルがある」という事実です。

 私は、最先端のデジタルツールを否定しているわけではありません。むしろ、大いに活用すべきだと考えています。しかし、それは「業務を魔法のように消し去ってくれるつえ」としてではなく、現場の事実を克明に映し出し、人と人とが対話するための「共通言語」として使うべきなのです。

  • 第1弾:過去のナリユキを疑い、物理的な限界である「理論原単位」を知る
  • 第2弾:足し算の投資の前に、「ボトルネック」を見極め、工程を並び替える
  • 第3弾:間接業務にもIE思考を持ち込み、「ノーコードツール(ログ)」で手待ちを可視化し、自ら改善を回す文化を創る

 IEという、一見すると泥臭く古典的な手法は、データが飛び交う現代のDX時代において、色あせるどころか、むしろ「最強の武器」としてその輝きを増しています。

 日本の製造業は、長きにわたり世界に誇る「モノづくりの魂」と「現場力」を培ってきました。製造現場で泥にまみれ、1秒の“カイゼン”に命を燃やしてきた皆さまのDNAは、決して時代遅れなどではありません。

 皆さんの足元には、先人たちが築き上げた確固たる基礎があります。その製造現場の厳しい視点と知見を、今度は事務所の「間接業務」へと持ち込んでください。「IEの視点」「少しのデジタル技術(ノーコードとログ)」を掛け合わせるだけで、皆さんの会社は、工場も事務所も一体となって劇的かつ持続的に進化し続けることができると確信しています。

 さあ、まずは現状の数字を疑うことから始めましょう。大掛かりな準備は必要ありません。明日、会社に出社したら、製造現場で使っていた「心のストップウォッチ」と、ほんの少しの「好奇心」を持って、事務所のデスクワークを観察してみてください。

「このExcel作業、誰が直せるんだ? 本当にこの手順じゃないとダメなんだろうか?」

 そんな疑問が、会社全体を変える大きな改善の第一歩となります。本連載が、日本全国で日々奮闘されている製造業の皆さまにとって、現状を打破し、次なる高みへと飛躍するための「小さな気付き」と「背中を押すエール」となれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。

 最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。皆さんの会社の、さらなる進化と大いなる成功を心より祈念しております。

著者プロフィール

小林 悠真(こばやし ゆうま)

九州大学大学院修了後、ヤマトシステム開発、バンテックにて物流・生産管理に従事。その後、ラクスルなどのIT企業にて事業開発・SCM構築を歴任。自動車産業の緻密な管理手法とIT企業のスピード感を融合させた現場改善を得意とする。

現在は、プロ人材サービス「ウィズプロ」のプロ人材として製造業・物流業のDXコンサルタントとして複数社の支援を行っている。


ウィズプロとは

ウィズプロは、製造、モノづくり業界に特化したプロ人材と企業課題をつなぐ伴走支援型サービスです。三菱電機グループの商社であるRYODENのネットワークを背景に、現場実装まで見据えた支援を提供しています。

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⇒連載「“脱どんぶり勘定”の現場改善術」のバックナンバーはこちら

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