全3回にわたり、「DXの成否は『IE(インダストリアル・エンジニアリング)』で決まる」というテーマでお話ししてまいりました。
世の中には、最新のAI技術や、驚くような自動化設備のニュースがあふれています。それらを目にするたび、「うちの会社は遅れているのではないか」「もっと大規模な投資をしなければ生き残れないのではないか」と焦りを感じる経営者や現場責任者の方も多いことでしょう。
本シリーズを通じてお伝えしたかったのは、「皆さんの現場には、まだまだ眠っている巨大なポテンシャルがある」という事実です。
私は、最先端のデジタルツールを否定しているわけではありません。むしろ、大いに活用すべきだと考えています。しかし、それは「業務を魔法のように消し去ってくれるつえ」としてではなく、現場の事実を克明に映し出し、人と人とが対話するための「共通言語」として使うべきなのです。
IEという、一見すると泥臭く古典的な手法は、データが飛び交う現代のDX時代において、色あせるどころか、むしろ「最強の武器」としてその輝きを増しています。
日本の製造業は、長きにわたり世界に誇る「モノづくりの魂」と「現場力」を培ってきました。製造現場で泥にまみれ、1秒の“カイゼン”に命を燃やしてきた皆さまのDNAは、決して時代遅れなどではありません。
皆さんの足元には、先人たちが築き上げた確固たる基礎があります。その製造現場の厳しい視点と知見を、今度は事務所の「間接業務」へと持ち込んでください。「IEの視点」と「少しのデジタル技術(ノーコードとログ)」を掛け合わせるだけで、皆さんの会社は、工場も事務所も一体となって劇的かつ持続的に進化し続けることができると確信しています。
さあ、まずは現状の数字を疑うことから始めましょう。大掛かりな準備は必要ありません。明日、会社に出社したら、製造現場で使っていた「心のストップウォッチ」と、ほんの少しの「好奇心」を持って、事務所のデスクワークを観察してみてください。
「このExcel作業、誰が直せるんだ? 本当にこの手順じゃないとダメなんだろうか?」
そんな疑問が、会社全体を変える大きな改善の第一歩となります。本連載が、日本全国で日々奮闘されている製造業の皆さまにとって、現状を打破し、次なる高みへと飛躍するための「小さな気付き」と「背中を押すエール」となれば、筆者としてこれ以上の喜びはありません。
最後までお読みいただき、誠にありがとうございました。皆さんの会社の、さらなる進化と大いなる成功を心より祈念しております。
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