サカイ引越センターはこれまで、外国人人材の積極的な活用や、新幹線を用いた輸送の試験運用など、ドライバー不足への対応を進めてきた。一方で、関東〜関西間や関東〜九州間といった長距離の引っ越しは依然として需要が高く、人員のやりくりに苦労を強いられてきたという。
山野氏は、「引っ越しサービスは家財の搬出入と輸送の2つの要素に分かれる。長距離輸送が発生する場合、作業負担や長時間の拘束が生じるため、肝心な家財の取り扱いに集中しきれないという課題もあった。長距離幹線輸送の無人化が実現すれば、安定した輸送力の確保に加え、現場のスタッフが『引越サービスそのもの』に専念できる環境づくりが可能になる」と期待を語った。
ハート引越センターでも2024年問題への対応などを進めてきたが、ドライバー1人当たりの輸送量低下や、それに伴う輸送コストの増大といった課題が発生していた。ハート引越センター 代表取締役社長の太田至計氏は、「ドライバーの健康と安全を確保するためにも、長距離の運転負担をいかに軽減するかが経営上の大きなテーマとなっている」現状の危機感を語った。
こうした課題を背景に、T2 代表取締役CEOの熊部雅友氏は「単なる技術検証にとどまらず、業界が抱える根本的な問題を解決するソリューションを提供することが目的だ」と語る。3社は今回の実証を経て、自動運転トラックを用いた引越サービスの商用運行の確立を今後目指す予定だ。
また、これまでは高速道路上の工事区間などではドライバーが一時的に手動運転に切り替えざるを得なかったが、T2は今回の実証に向けて工事区間などにも対応できる自動運転技術を新たに開発した。同技術の活用により、綾瀬市と神戸市の切替拠点に近いIC手前まで、手動介入なしでの本線完走を目指すとしている。
T2は2027年度に、特定の条件下でシステムが全ての運転操作を担う「レベル4」の自動運転トラックを用いた幹線輸送サービスの開始を目標に据えている。
同社はこれまでに、飲料、建材、化学品、ロール紙など多様な業界の約40社と実証実験を重ねてきた。2025年7月には、国内初となるレベル2のトラックを用いた商用運行を関東〜関西間で開始。当初は佐川急便など5社と協業してスタートしたが、現在は9社にまで拡大している。
2026年春には神奈川県綾瀬市と兵庫県神戸市に「切替拠点」を新たに設置する。これは、高速道路での無人運転と一般道での有人運転を切り替えるために、ドライバーがトラックに乗り降りするためのハブ施設だ。サカイ引越センターやハート引越センターとの実証実験においても、この綾瀬市の拠点が活用される予定となっている。
熊部氏は、「引越業界は、われわれにとってこれまで取り組んだことのない新しい領域だ。今回、自動運転の社会実装に向けた輪に新しく加わっていただいたことへの期待は非常に大きい」と語り、業界の垣根を超えた共創への意欲をにじませた。
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