生成AI(人工知能)の進化が受託開発型のビジネス脅威になるという声がある中で、IT産業で成長を続けているインド政府/産業の動向に注目が集まっている。NRIインド シニアコンサルタントの渡邊大氏は、「現在のインドはIT人材だけではなく、AI人材においても世界最大級の供給拠点になっている。AI/DXの実装を支える開発拠点としても機能し、AIのモデルトレーニングに必要なデータをラベル付けするデータアノテーション領域でも注目が集まっている」と語る。
インドは世界で2〜3番目に大きなAI人材プールを有しており、データアノテーション産業においては、約20万人のエンジニアがインドに集まっている。多くのグローバル企業がインドのGCC(Global Capability Center)にAI CoE(Center of Excellence)を設置してAI開発に取り組み、医療や自動運転といったAIがこれからも浸透していく領域では、今後も大きな伸びを見せていくという予測がされている。
インド政府は「インドAIミッション」という7つの戦略方針を立案し、インドの従来の強みでもあるアプリケーション開発や人材の数を生かして海外展開力を高めている。
インド国内では、スタートアップ企業や研究機関がAI学習に活用できるデータ基盤や計算資源を1つに集約する技術基盤を開発している。これらの基盤をインドの公共デジタル基盤である「インディアスタック」へ統合し、インド国外にも展開する方針だ。
渡邉氏は「インド政府は自国を社会問題解決に向けた実験場と位置付け、社会課題を解決するAIソリューションを成長させようとしている。完成したソリューションはグローバルに展開していくという方針を打ち出している」と述べる。
近年、インドでは多くのクロステック(X-tech)/スタートアップ企業が誕生しており、その動向に注目が集まっている。コロナ禍では、インド国内でスタートアップ企業への多額の資金流入や、インド国内におけるデジタル需要の拡大を追い風に急成長をした企業が多く見られた。現在では、成長鈍化の兆しが見られる企業も出始めており、競争が激しい分野では一部企業の淘汰が進行している。
NRIインド コンサルタントの佐々木雄大氏は「コロナ禍における資金調達額は、コロナ禍前後と比較して約3〜4倍の金額になっている。2021年には44のユニコーン企業が生まれているが、直近ではその数は1桁に落ち着いた」と分析する。
コロナ禍では対面販売が制限されていた影響もあり、Eコマース分野でインドのスタートアップ企業が大きな成長を見せた。その後は需要が落ち着いてコロナ禍以前の水準に戻り、顧客獲得/維持の仕組みづくりといった事業力が不足している企業は成長が鈍化している。2023年には1万5921社、2024年には1万2717社のスタートアップ企業が事業を停止したという。
現在は、政府主導で資金やインフラ、人材が整備されており、Deep Techをはじめとした高度技術系のスタートアップ企業が成長する環境が構築されつつある。ここにグローバル企業からの資金/技術支援が進んでおり、高度技術系のスタートアップ企業の今後の成長力に期待が集まっているという。佐々木氏は「巨大な内需を有するインドでは、特定市場に依存しない事業設計をしていた企業が淘汰の波に飲まれずに、持続的な成長を可能にしたと思っている」と述べている。
多目的電動台車のイノベーション拠点をインドに設立
拡大するインドへ攻勢、ヤマトが海外最大となる2.5万平方メートルの物流拠点稼働
インドに工場新設、二輪/四輪車向け事業拡大を目指す
オムロンがインドに共創型オートメーション拠点開設、国内の製造DX促進
山九がインド南部に大型物流施設、日系大手メーカーの専用施設
火災後再建のインド工場が稼働を開始、3拠点体制で供給体制強化Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
製造マネジメントの記事ランキング
コーナーリンク