現在、事業別使用資本利益率(ROCE)は、エレクトロニクスセグメント、インテグレイテッドケミカルズ事業、オートモーティブセグメントで10%を超えている。ディスプレイ事業も改善傾向にあるが、エッセンシャルケミカルズ東南アジア事業は低迷しており、ライフサイエンスセグメントも赤字が継続している。
一方、同社は財務目標として、2026年に自己資本利益率(ROE)で5%以上の達成や、2027年以降早期に株主資本コストを上回るROE8%の実現を掲げている。ROEで8%に相当する全社ROCE10%を目指し、全ての事業で営業利益の向上と営業資産の適正化を図っている。
営業利益の向上施策として、コスト削減(安定生産/生産性改善)や価格政策、高付加価値化を進めている。営業資産の適正化として、投資の源泉、在庫の削減、事業の売却/撤退を推進している。
セグメント別ではROCE10%という目標の達成に向けて、エレクトロニクスセグメントは、オプトエレクトロニクスが高機能化に向けた移行期にあることを踏まえて、電子部材事業で製品の付加価値向上を推進し再成長を目指すとともに、車載カメラやAR/MRグラスなどの用途展開を継続する。半導体関連部材では、露光機のスループットや解像度を高められる次世代のEUV露光用マスクブランクスの技術開発を、さまざまなデバイスや露光機を対象に進めている。
既に同社は、2〜7nmのロジックデバイスやD1Z〜D1DのDRAMおよびLow NA露光機(NA0.33)を対象としたEUV露光用マスクブランクスの技術開発を完了している。現在は0.7〜1.4nmのロジックデバイスやD0X〜のDRAMおよびHigh NA露光機(NA0.55)を対象としたEUV露光用マスクブランクスの技術開発を進めている。0.7nm以下のロジックデバイスやHyper NA露光機(NA>0.7)を対象としたEUV露光用マスクブランクスの技術開発も推進中だ。
ディスプレイ事業では、2027年にROCE10%の達成を目指し、大型ディスプレイ用ガラス基板への注力による生産性向上や製品/サービスに見合う適正な価格水準の追求、競争力のある新製品の上市を展開する。
インテグレイテッドケミカルズ事業では、パフォーマンスケミカルズ事業を軸にケミカルチェーン全体の最適化を図る。パフォーマンスケミカルズ事業では、エレクトロニクス、エネルギー、モビリティといった3領域の高収益品に注力して展開する。
エッセンシャルケミカルズ東南アジア事業では、タイの増設設備が本格稼働する。東南アジア域内の需要は伸長しているが、塩化ビニール樹脂/苛性ソーダの市場価格は低迷している。そのため、同事業では域内生産のメリットを生かした販売戦略で、収益改善を図る。
建築ガラスセグメントでは、欧州でコスト削減を継続するとともに、需要動向に留意した価格政策や「Low-E複層ガラス」などの高付加価値化を推進する。南米では合わせガラスなどの高付加価値化を図る。日本では、価格政策や高耐熱/高遮熱製品などの高付加価値化、ガラスリサイクルを進める。東南アジアでは、販売/流通網の強化や高付加価値化といった構造改革を続ける。
2025年にROCE10%を達成したオートモーティブセグメントでは、製品/サービスに見合う適性な価格水準の追求や高効率設備などの導入による生産性向上を推進する。CASE(Connected、Autonomous、Shared & Services、Electric)を踏まえた高付加価値品の比率向上も行う。これらにより、数年内にROCEで15%を目指す。
ライフサイエンスセグメントでは、動物細胞の受注拡大に向けて、営業/マーケティングの強化やAGCグループの生産技術力およびデジタル技術の活用、コロラド拠点閉鎖などのコスト削減を進めている。
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