現代企業が置かれているサステナビリティ経営の状況について、PwC Japan グループ サステナビリティ リーダー/PwCコンサルティング 上席執行役員 パートナーの屋敷信彦氏は「経済活動は環境と社会がないとそもそも成り立たない。その認識は、どの企業も持っているが、規制などもあり自社の取り組みが環境や社会にどのような影響を与えるのか評価をしなければならない状況に置かれている。その上で、企業は1社だけで取り組めることに限界を感じている。企業間で連携をしてコンソーシアムの開催や業界間の取り組みが必要になるなど、経済価値、社会価値、環境価値が非常に密接な関係になっている」と分析する。
実際に世界では企業に対して情報の開示に包括的なものが求められ始めている。例えば、自然に関連するリスクと機会に関する企業の情報開示を促進する国際イニシアチブであるTNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures)は、気候変動に関する影響や依存状況の見える化を提唱しており、企業はTNFDの自然移行計画ガイダンスに沿った対応を順次求められることになる。
気候変動においては、国際的にイニシアチブや報告基準が設定された後に、各国の規制や法制度に落とし込まれていき、その後各企業に対応が求められるという流れになっている。しかし、グローバル思考が進む現代では気候関連以外にも、自然資本や社会的配慮、人的資本などさまざまなテーマを統合した包括的な情報開示や移行計画の策定が求められることが想定されている。
この動きに対応するためにPwC Japan グループでは、サステナビリティ領域の課題に対して包括的な視点で対応するホリスティック思考に重きを置いている。同グループは2025年から「ホリスティックに考え、決める」「システミックに動き、実現する」というコンセプトを打ち出し、サステナビリティの新時代ともいえる状態に突入している中で、全体を最適化する新しいSX(サステナビリティトランスフォーメーション)経営体制の構築に向けて支援に取り組んでいる。
PwC Japan グループはサステナビリティ経営支援において、「Strategy」「Transformation」「Reporting」といった3つの領域に注力している。Strategy領域については、何か個別のテーマで戦略を立てるのではなく、最初に自然環境というものを捉えた時にどこに影響があるかをしっかり捉えて優先順位を決める「ホリスティックサステナビリティ戦略策定」というコンセプトを重視している。
Transformation領域については、自社で取り組める部分に注力しつつ、エコシステムを構築していくという観点で、産業全体や自社が関わるサプライチェーン全体をどのように変えていくかを決める「システミックサステナビリティサプライチェーン変革」というコンセプトを立てている。そして、これらを踏まえた上でReporting領域として、サステナビリティ領域で取り組んだ内容をしっかりと開示していくという今後の企業が求められる姿の実現を後押しするために「法定開示を起点とした非財務情報管理/統合思考経営」をコンセプトに支援する方針だ。
屋敷氏は「最初に決めるホリスティックサステナビリティの戦略が、そもそも間違っていると、他にも影響を及ぼすということで、今回発表したホリスティックツールは戦略策定においても非常に有効なツールになると考えている」と述べている。
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