サステナビリティ新時代に求められる「ホリスティック」な経営とは?脱炭素(1/2 ページ)

PwC Japan グループは、事業やサービスが環境/社会/経済に与える影響を可視化する新サービス「ホリスティック評価サービス」についての発表と、サステナビリティの新時代におけるホリスティックアプローチについて説明した。

» 2026年02月09日 07時30分 公開
[坪田澪樹MONOist]

 PwC Japan グループは2026年1月26日、東京都内とオンラインで記者会見を開き、事業やサービスが環境/社会/経済に与える影響を可視化する新サービスと、サステナビリティの新時代におけるホリスティックアプローチについて発表した。

PwC Japan グループの新サービス「ホリスティック評価サービス」

 PwC Japan グループの新しいサービスとして発表した「ホリスティック評価サービス」は、多様で複雑なサステナビリティ領域の課題と向き合う企業を対象にした、事業や製品/サービスがサステナビリティ領域の課題に及ぼす影響を可視化するサービスである。サステナビリティの観点で企業活動のさまざまなリスクと機会を可視化して評価することで、経営者の意思決定に寄与する。同年1月26日にホリスティック評価サービスの提供は開始された。

 近年、サステナビリティ領域の課題やリスクは多様化して複雑になっている。例えば資源循環に向けて鉄やプラスチックの再生材の使用を検討する際には、直接的な環境負荷や価格の比較だけでなく、運搬にかかるコストや大気汚染物質の排出量なども含めた、複数の項目にわたって製品ライフサイクル全体で環境や社会への影響と経済性を総合的に考慮して意思決定を行うことが重要である。

 企業はこれらに個々に対応するのではなく、気候や自然、人権などといった複数の課題を統合的に評価する必要がある。実際に国際的な開示基準やガイドラインでもこうした対応が求められ始めている。しかし、検討に必要となる膨大な関連データを収集/解析する方法論は確立されていないのが現状である。

 この課題に対して、PwC Japanは多様な環境/社会的な影響を統合的に分析/評価するソリューションとして「Sustainability Holistic Evaluator(サステナビリティ・ホリスティック・エバリュエーター、SHE)」を構築し、その第1弾としてホリスティック評価サービスを展開していく。

 SHEは、複数の課題を統合的に捉え全体最適を図るホリスティックアプローチを採用している。これにより、分析に必要な関連データを収集し、現状を可視化して比較可能な状態にすることで、統合的な視点での解析が可能になる。

PwCコンサルティングの齊藤三希子氏

 ホリスティックアプローチについて、PwCコンサルティング ディレクターの齊藤三希子氏は「多様化している事柄の中で最も優先度が高いのはどこなのかという部分をきちんと見極める必要がある。毀損されてしまうところをゼロにしていくということは難しいが、環境への対応でトレードオフになっている部分をできる限り最小化し、トレードオンにしていくといった部分を増やす考え方が重要だ。この考えをわれわれはホリスティックアプローチとして提唱している」と語る。

多様化する課題に対するホリスティックアプローチのイメージ[クリックして拡大] 出所:PwC Japan グループ

 今回新しく発表したホリスティック評価サービスは、クライアントの事業や製品/サービスが及ぼすサステナビリティ領域の課題への影響を可視化し、施策ポートフォリオの見直しや対応策を提示できる。これにより、クライアントは施策による影響の全体最適化を図ることが可能だ。分析に使用するデータは、クライアント企業から提供を受けたデータ以外にも、外部のライフサイクルアセスメント(LCA)による評価やサプライチェーンの評価、産業連関分析などを活用する。分析は、外部の機関が開発したダッシュボードをベースにPwCコンサルティングのオリジナル要素を加えたツールを使用している。

 ホリスティック評価サービスの主な機能は、データに基づいたサステナビリティ関連指標間の影響を可視化できる。「カーボンニュートラル関連指標」「サーキュラーエコノミー関連指標」「ネイチャーポジティブ関連指標」「ウェルネス関連指標」といった4つの観点で重要なものを160指標の中から選定し、ある施策を講じた際にそれぞれの指標にどのような影響を及ぼすのかを比較して確認できる。

ホリスティック評価のアウトプットイメージ[クリックして拡大] 出所:PwC Japan グループ

 同サービスを開発する上で、ケーススタディーをゼネコン大手の大林組で実施した。齊藤氏は「従来の建設業界は環境規制がそれほど厳しくなかったが、最近では、グローバルで非財務情報開示やGHG排出量、資源循環性などにおいて規制が強化されてきている。日本においても、建設物のLCA実施が義務付けられ、2028年から試行されるようになる。建設業界においてもESG(環境/社会/ガバナンス)経営に取り組むことが非常に重要視されるようになってきた」と分析する。

大林組のケーススタディー事例[クリックして拡大] 出所:PwC Japan グループ
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