新統合会社では、「販売チャネル、調達ソース、製品の拡充(≒クミアワセの力)」「新たな市場ニーズへの対応力向上(≒スリアワセの力)」「規模拡大によるプレゼンス向上」「価格競争力の向上」「コスト効率化」を行う予定だ。
「販売チャネル、調達ソース、製品の拡充(≒クミアワセの力)」では、両社の顧客基盤および製品を生かしたクロスセル機会を拡大する。「新たな市場ニーズへの対応力向上(≒スリアワセの力)」では、高機能素材の共同開発や品質管理体制の強化を行う。
クミアワセの力とスリアワセの力について、帝人の強みである販売ネットワークを通じ、旭化成アドバンスで競争力がある素材(キュプラ繊維、人工皮革など)を拡販する。素材のクミアワセによる製品群の拡充や両社のプラットフォームの相乗効果により課題解決力も強化する。例えば、ナイロンとポリエステル繊維をクロスセルすることで、グローバルのアパレルに対して訴求力を高める。エアバッグ事業のバリューチェーンをより強固なものとすることで、顧客ニーズ対応力を向上する。
森山氏は「旭化成アドバンスが強みを持つナイロンと、帝人フロンティアが強みを有しているポリエステルを組み合わせることで、さまざまなニーズに応えられるとみている。例えば、スポーツアパレルの分野では汗を早く吸収する繊維のニーズがあるが、旭化成アドバンスのナイロンと帝人フロンティアのポリエステルを組み合わせることで、こういった需要に対応できるかもしれない」と述べた。
加えて、「エアバッグは、東洋紡からエアバッグの事業を帝人フロンティアが獲得できたということもあり、旭化成アドバンスの縫製技術が生きるとみている。つまり、一連のバリューチェーンを構築でき、そういった中で顧客のニーズに応えられると考えている」と語った。
「規模拡大によるプレゼンス向上」では、規模を拡大することでファーストコンタクト先になり、成長しやすくする。「価格競争力の向上」では、原材料の調達やバリューチェーンの統合によりコスト削減を図る。「コスト効率化」では、両社で重複した機能における人材などを適正化する。
これらの取り組みにより、顧客近接型モデルを強化し、新統合会社における2030年近傍の売上高目標である5000億円規模の実現を目指す。
「アラミド・炭素」について、帝人では航空機用途を中心に高収益の取引に炭素繊維ビジネスのリソースを集中している。納入実績や安定した生産体制などを通じて、高い信頼性が求められ、参入障壁が高い航空機用途に経営資源を使う。
炭素繊維のビジネスでも顧客近接型ビジネスを展開している。顧客近接型ビジネスとして、航空機用途の中間材料で次世代航空機向け製品の開発を促進している他、自社や他社の素材にこだわらず、産業/レクレーション用途の中間材料事業を拡大している。
炭素繊維ビジネスでは構造改革や成長戦略も展開中だ。構造改革として、日本とドイツの工場における炭素繊維の稼働系列を厳格に区別している他、炭素繊維を生産する米国工場を2026年1月に一時休止した。森山氏は「現在は米国工場における全ラインを稼働休止している。しかし、この工場は航空機向けの炭素繊維製品を製造するのが得意だ。そのため、次世代航空機向け新製品の開発の進捗次第で、その製品を生産する目的で再稼働する可能性がある」と明かした。米国工場の一時休止に伴い、帝人では約80人の人員を削減しており、この効果は2026年度の第1四半期に発現する見込みだ」と語った。
グローバルでのコスト構造の抜本的な見直しも行っており、次期中期経営計画の期間(2026〜2028)年中に、約50億円の固定費を削減する考えだ。これらにより、低収益ビジネスからの撤退や生産規模の縮小を断行する。
炭素繊維ビジネスの成長戦略では日本とドイツで、次世代航空機向け中間材料(プリプレグなど)を開発している。米国では防衛を含む航空機用途などで高耐熱プリプレグの展開を拡大。ベトナムでは、自社や他社の素材にこだわらず、産業/レクレーション用途の中間材料事業をアジアの顧客に展開している。
森山氏は「高耐熱プリプレグは(開発や製造が)非常に難しい素材だが、当社は高耐熱プリプレグを開発/製造できるコア能力がある」と強調した。
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