ダロズ氏は、3DEXPERIENCEとバーチャルコンパニオンによってユーザーが体験できる3つの価値を挙げた。
1つ目は「Magic(魔法)」である。自然なインタラクションと没入感を提供し、ユーザーは画面の前にいるだけでなく、望めば設計の中に入り込むことも可能だという。
2つ目は「Performance(性能)」だ。生産性を10倍に高めることを目標に掲げ、リワークの削減、サイクルの短縮、イノベーションの創出増加を図る。
そして、最も重要なのが3つ目の「新しい可能性」である。これまで存在し得なかった設計や解決策を、バーチャルコンパニオンが生成し、探索していく。
このような変革は、エンジニア育成にも影響を及ぼすという。現代の子どもたちは、AIがあふれる環境で育つ一方で、物理の理解は依然として不可欠である。「未来のエンジニアは、強い基礎力と深いドメイン知識に加え、バーチャルコンパニオンと協働できる能力を持つ必要がある」(ダロズ氏)。そのため、教育、スキル、コミュニティーを活動の中心に据え、SOLIDWORKSが学生からプロフェッショナルまで、学習とモノづくりを支援していく方針をあらためて示した。
同社 Mainstream Innovation担当シニア・バイスプレジデントのジャン・パオロ・バッシ氏は、事業における成功は「『市場投入までの時間』ではなく『価値創出までの時間』で測られる」と述べ、真のイノベーションには継続的なエンジン、すなわち洞察から設計、検証へと一貫して進むイノベーションの速度が必要であることを訴えた。
また、AIについては「創造性を置き換えるものではなく、拡張するものである」(バッシ氏)とし、より早くパターンを見つけ、より効果的に検証し、個人やチームでは不可能な規模でそれを実現できると語った。
ただし、バッシ氏は「優れたアイデアとAIがあっても、それだけでは十分ではない」とも言及し、イノベーションには“システム”が必要であると強調した。バッシ氏は、イノベーションをフライホイールにたとえ、「最初は回すのが大変だが、一度回り出せば運動量が生まれ、次のサイクルを容易にする。フライホイールのように、イノベーションはその勢いを維持するエンジンにもなり得る」(バッシ氏)と説明した。
ダッソー・システムズにとって、このエンジンこそがSOLIDWORKSポートフォリオであり、その燃料となるのが「産業データ、市場動向、設計判断、シミュレーション結果、性能フィードバックである」とバッシ氏は述べた。これによりAIは文脈を持ち、エンジニアの力を高める増幅器となり、知識を増やし、意思決定を導き、結果を予測する。また、データを探す時間、整合させる時間、修正する時間、誤解する時間、足並みがそろわない時間を削減し、価値創出や創造により多くの時間を使えるようになるという。その実現を可能にするのが、バーチャルコンパニオンの存在だ。
その上でバッシ氏は、「プラットフォームとバーチャルコンパニオンだけでは十分ではない」とし、「どれほど優れたエンジンでも駆動力が必要である」(バッシ氏)と強調する。意図、判断、導き、目的を与えるのはエンジニア自身であり、その力はSOLIDWORKSのエコシステムから生まれる。そして、「エコシステムが1つのプラットフォームでつながり、人とAIがともに学ぶとき、フライホイール、すなわちイノベーションのサイクルは止められないものになる」とバッシ氏は述べた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
メカ設計の記事ランキング