続いて登壇した同社 CEO(最高経営責任者)のパスカル・ダロズ氏は、「AIはエンジニアにとってゲームチェンジャーである。AIは多くの設計案探索を可能にし、トレードオフをより迅速に検討でき、知識へのアクセスを即時化する。それにより、本当に重要なこと(意思決定)に集中できるようになる」と述べた。
また、エンジニアの知識、ノウハウ、判断、経験こそが最も価値のある知的財産(IP)であり、同社が提唱する生成型経済(ジェネレーティブエコノミー)においては、日々生み出される設計、アセンブリ、シミュレーション、製造ノウハウなどのIPが“通貨”として機能し、経済的価値を生むとする。
「ダッソー・システムズの使命は、こうしたIPを生成し、守り、その価値を増幅することにある」とダロズ氏は語り、その実現に向けた新たな枠組みとして「3D UNIV+RSES」を提唱する。その中で同社は、エンジニアリングの上にAIを載せるのではなく、“エンジニアリングの中にAIを組み込む”という方向性を掲げ、意思決定と創造のプロセスの変革を目指している。
同社は、それを「INDUSTRY WORLD MODELS」と名付け、構築を進めている。これは、部品同士の因果関係やエンジニアリングの工学的推論、トレーサビリティー、認証など、現実のモノを成立させるために積み上げられてきた物理に根ざしたあらゆる要素を基にした産業向けAIモデルといえる。
そして、このINDUSTRY WORLD MODELSをエンジニアの伴走者として機能させるための存在が、バーチャルコンパニオンだ。これは、3D UNIV+RSESの提供価値を構成する要素の1つであり、対話形式でユーザーとやりとりしながら、AIを活用して、さまざまなタスクを遂行することが可能である。
AURAは、2025年に発表されたバーチャルコンパニオンの1つで、「探索」を担う。要件や制約条件、プロジェクトの目的、顕在化していない課題などを文脈として把握し、社内外に蓄積された知識や過去事例を横断的に参照しながら、検討すべき選択肢や方向性を整理/提示する役割を果たす。
そして今回、新たに発表されたのがLEOとMARIEである。LEOは「実現」を担い、機構、構造、運動、シミュレーション、製造といったエンジニアリング領域の推論を通じて、設計案が物理的/工学的に成立するかどうかの判断を支援する。
一方のMARIEは「科学」を担い、材料特性、化学的挙動、配合条件、各種規制といった観点から設計を評価し、科学的根拠に基づく判断を補完する。
これら3つのバーチャルコンパニオンは、それぞれの役割を分担しつつ三位一体で協調し、設計データや作業内容、対話の流れといったコンテキストを踏まえて、最適解の導出を支援する。
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