米国テキサス州ヒューストンで開幕したダッソー・システムズ主催の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2026」の初日のゼネラルセッションでは、AI活用の方向性が示されるとともに、「AURA」に続く2つの新たなバーチャルコンパニオンの発表が行われた。講演の模様をダイジェストで紹介する。
米国テキサス州ヒューストンで開幕したダッソー・システムズ主催の年次ユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2026」(会期:同年2月1〜4日[現地時間]/会場:ジョージ R.ブラウン コンベンションセンター)では、ゼネラルセッションの初日(同年2月2日)から、AI(人工知能)が最大のテーマとして扱われた。
同社は、AIを単なるツールではなく、設計/シミュレーション/製造のワークフロー全体において、設計者をはじめとするエンジニアの業務を支えるエンジン、すなわちエンジニアの力を増幅させる装置(増幅器)として位置付けており、エンジニアリングの力によってAIを動かし、イノベーションの創出につなげるものだと強調する。
その象徴が、前回の「3DEXPERIENCE World 2025」で発表された「Virtual Companions(仮想空間のアシスタント機能/バーチャルコンパニオン)」である。これはブラックボックスでも、エンジニアの代わりに判断を下すパイロットでもなく、AIの力を活用してさまざまな作業を支援しながらも、最終的な決定や責任はあくまでエンジニアに委ねる“仲間/パートナー”としての役割を担う。
2025年11月にリリースされた「SOLIDWORKS 2026」でも提供が始まったバーチャルコンパニオン「AURA」に続き、今回の3DEXPERIENCE World 2026では、新たに「LEO」と「MARIE」が発表された(詳細およびデモ動画は後述)。この3つのバーチャルコンパニオンは、それぞれ役割を分担しながら三位一体で協調し、エンジニアが求める最適解の導出を支援する。
以下、初日のゼネラルセッションの模様をダイジェストで紹介する。
同社 SOLIDWORKS CEO 兼 R&D担当バイスプレジデントのマニッシュ・クマー氏は、「AIの導入によって一部のタスクは縮小し、役割が変化することは避けられない」としつつも、「価値の源泉は、AIではなくエンジニア自身にある」(クマー氏)と訴える。そして、これから訪れるAIによるイノベーションの波においては、エンジニアの判断、技術、職人技、さらには物理世界でのモノづくりの力が、これまで以上に重要になると語った。
現時点でのAIの存在は、かつて文明や産業を改革した「火」や「蒸気機関」のように、この先どのようなイノベーションにつながるのか予測できない段階にあるが、クマー氏は「その波をけん引するのはクリエイターやエンジニアである」と強調する。
さらに、AIを組み込んだ装置を例に考えると、AIを“脳”とするならば、脳はその動きをつかさどる“身体(メカ)”が必要となる。クマー氏は「AIがパターンを学習できたとしても、機能を実現するには物理の法則を無視することはできない。だからこそ、エンジニアの出番なのだ」と、会場に詰め掛けたSOLIDWORKSユーザーに呼び掛けた。
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